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【コラム】平昌の宿泊料引き下げまで韓国政府が乗り出さなければならないのか

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
平昌(ピョンチャン)冬季五輪開催地域の一部宿泊施設が五輪期間中に平年のピーク時より2~3倍高い料金を要求したという。1部屋で甚だしくは45万ウォン(約4万6774円)まで上がったという。メディアがその「悪徳商魂」を指摘すると韓国政府と地方政府が乗り出してこれに対する強力な対策を出した。すると宿泊業協会は記者会見を開き、「2人1泊で16万ウォン以上は取らない」と宣言した。

一連の流れに韓国経済の問題点を見ることになる。まず市場価格に対する政府の直接介入だ。限定された宿泊施設に訪問客が集まれば価格が上がるのは当然だ。アメリカンフットボール決勝戦であるスーパーボウルを招致した都市のモーテルは普段70ドルだがスーパーボウル前日は1000ドル取るという。それでも米国の国民や政府はこれを悪徳商魂とは呼ばない。

政府が市場を無視して強制的に価格を押さえ込む政策は失敗するほかない。宿泊施設に裏金を払わなければならなかったり、低価格で予約後にこれを高い価格で転売する一種のダフ屋が猛威を振るうことになる。結局宿泊客は高い料金を払わなければならない。これを解決する方法はくじ引きだ。実際に日本ではアイドルグループのコンサート時には申し込みを受けて抽選をする。しかしこの方式は抽選の公正性に対する社会的信頼が必要で、行政費用が必要となる。さらに大きな問題は放送局社員や選手団の家族など切実な人たちが部屋を押さえられない可能性があるという点だ。料金には切実な消費者を選び出す機能があるためだ。


もちろん開催地域の宿泊施設側の失敗もあった。需要を過度に予測したことだ。五輪宿泊施設予約現況は先月22日現在で平昌地域が29%、江陵(カンルン)地域が32%にとどまったという。五輪需要爆発を期待して価格を大きく引き上げたものの、予約率が低調なため仕方なく価格引き下げを発表したのだ。予測失敗の無能のせいにはできても悪徳商魂と責め立てるのは行き過ぎだ。

2番目に、政府が市場に介入する方式の問題点だ。中央政府と地方政府は合同点検班を作り、関連自治体は特別取り締まりチームを設けた。宿泊料は各業者の自律事項であるため政府が料金を強制することはできない。しかし政府には宿泊施設を脅す多くの手段がある。実際に点検班は料金や予約のほかにも衛生実態、消防・建築関連法令順守の可否を点検する。検察の別件捜査を連想させる。こうした別件点検が宿泊業界に受け入れられる理由は法令違反が普遍的であるためだ。衛生・消防・建築の安全は料金よりさらに重要と考えられる。しかしもっと重要な事項を普段は点検せずに違反に目をつぶり、2週間の不当な料金を取り締まるための手段として動員するのが正しいことなのか尋ねたい。規制を作ったなら徹底的に執行しなければならない。こうした点から規制は現実的でなければならない。だれも守らない規制は誤った規制だ。しかし政府は達成しにくい規制を作って多くの国民と企業を法律違反者に仕立て上げながら、その中から選別的に罰を与えたり目をつぶったりする力を行使する。

税務当局もぼったくり業者を特別税源管理業者に分類して税務調査をするという。宿泊業は現金の割合が高く自営業の中でも所得脱漏率が最も高い。高所得自営業者を対象にした2016年の国税庁調査によると飲食・宿泊業の脱漏率は66%に達した。そうした宿泊施設に普段は目をつぶっているのに2週間の不当な料金取り締まりのために税務調査を動員することが正しいのか尋ねたい。

政府が市場に介入することはできるが、価格に対する直接介入は概して悪い結果をもたらす。必要ならば政府も価格に介入することはあるが、その方式は供給調節、談合摘発、価格情報公開、租税など間接的でなければならない。価格に直接的な影響力を行使するために非現実的な規制を武器として動員するのはもうやめなければならない。もちろん国民が政府に過度な要求をするせいでもある。しかし政府もやはり国民のそうした期待に便乗している。政府がことあるごとに直接乗り出さなければならないという考えから捨てるよう願う。

パク・チン/KDI国際政策大学院教授



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