大韓民国憲法第66条には「大統領は国家元帥であり、外国に対して国家を代表する」と記されている。憲法は前文と第4条の2カ所で韓国が「自由民主的基本秩序」の国だと明らかにした。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が中国を国賓訪問したのは彼が韓国の国家元帥、国民の代表であるためだ。どころで、誰に会おうが自由と民主が生きている大韓民国のアイデンティティ、すなわち理念と歴史性を維持しなければならない。これは韓国大統領として憲法的義務に該当する。
ところで、15日北京大学での文大統領の演説は中国に対する自己卑下と事大があふれた。これが韓国大統領の公式発言なのかと疑わしいほど憲法精神が崩れた。文大統領の演説で最も理解できなかったのは「韓国も小さい国だが、責任ある中堅国家としてその夢に共にするだろう」というところだ。韓国がなぜ中国の夢に共にする必要があるのかも納得できないが、「小さい国」という表現は致命傷に近い。この発言は「私は習近平主席から中国の度量の大きい夢を見た」「法と徳を前面に出して包容するのは中国を大国らしくする基礎」という「中国大国論」を述べてから出た。
ここで「小さい国」は人口や面積を指すわけでない。流れ上、「韓国小国論」だ。国家の夢や価値、指導力で韓国が中国に比べて小さいということだ。だが、1人当たりGDPや経済実力、科学技術力、国民一人ひとりの生活の質や精神・文化・宗教的に享受する価値、人権・法治・3権分立と表現・良心の自由のような民主主義の水準で韓国は中国より大きい国だ。
中国人は大国の夢に韓国大統領が責任ある姿勢で参加するという確約を聞いて立派だと感じただろう。大韓民国誕生70年間、今回のように大統領が小国だと自らを下げ、相手を大国だと敬ったことはない。朝鮮時代でもないのにこのような事大があるだろうか。自由民主の国、韓国を代表する文大統領に共産主義中国に行って祖国を「小さい国」と卑下し、5000万国民に羞恥心を抱かせた根拠が何か憲法的責務を問わざるを得ない。
ただでさえ、盧英敏(ノ・ヨンミン)駐中韓国大使が習主席に信任状を呈上しながら芳名録に「万折必東」と書いたのが問題になっている。万折必東とは、黄河の流れが数え切れないほど折れても結局は東に流れるように、天子に向かった諸侯の深い忠誠心を表す。先祖が明国に崇拝と感謝を表現する時に使ったという。
もう一度文大統領の演説に戻ってみよう。彼は「韓国には中国の英雄を賛える記念碑と霊廟がある。光州市(クァンジュシ)には中国人民解放軍歌を作曲した韓国の音楽家、チョン・ユルソンさんを記念する『チョン・ユルソン路』がある」と述べた。大統領演説文の作成者はチョン・ユルソンさんが北朝鮮軍歌である朝鮮人民軍行進曲の作曲者という事実を知っているのだろうか。チョン・ユルソンさんは1950年、韓国戦争(朝鮮戦争)で北朝鮮が韓国を攻撃した際、中国八路軍に混ざって抗米援朝(米国と戦って朝鮮を支援する)戦争に参加した。彼は『共和国の旗が風にはためく』のような数多くの戦争歌を作り、金日成(キム・イルソン)主席の寵愛を一身に受けた。
チョン・ユルソンさんが社会主義者として日帝強占期に独立のために努力したという点は認められる。だからといって自由民主主義の韓国を共産化するために北朝鮮の戦争犯罪の先頭になった罪まで免責することはできない。大統領の演説文には、中国の偉大さを称賛するために彼らが過去韓国をなくそうとした敵国だったという歴史認識がまったく見えない。代わりに、大韓民国を朝鮮民主主義人民共和国に赤化し、自由民主の種を絶やそうとした金日成主席の側近を英雄に称えた。この国の品格の凄まじい墜落とアイデンティティの破壊に誰が責任を負うだろうか。
チョン・ヨンギ/中央日報コラムニスト
ところで、15日北京大学での文大統領の演説は中国に対する自己卑下と事大があふれた。これが韓国大統領の公式発言なのかと疑わしいほど憲法精神が崩れた。文大統領の演説で最も理解できなかったのは「韓国も小さい国だが、責任ある中堅国家としてその夢に共にするだろう」というところだ。韓国がなぜ中国の夢に共にする必要があるのかも納得できないが、「小さい国」という表現は致命傷に近い。この発言は「私は習近平主席から中国の度量の大きい夢を見た」「法と徳を前面に出して包容するのは中国を大国らしくする基礎」という「中国大国論」を述べてから出た。
ここで「小さい国」は人口や面積を指すわけでない。流れ上、「韓国小国論」だ。国家の夢や価値、指導力で韓国が中国に比べて小さいということだ。だが、1人当たりGDPや経済実力、科学技術力、国民一人ひとりの生活の質や精神・文化・宗教的に享受する価値、人権・法治・3権分立と表現・良心の自由のような民主主義の水準で韓国は中国より大きい国だ。
中国人は大国の夢に韓国大統領が責任ある姿勢で参加するという確約を聞いて立派だと感じただろう。大韓民国誕生70年間、今回のように大統領が小国だと自らを下げ、相手を大国だと敬ったことはない。朝鮮時代でもないのにこのような事大があるだろうか。自由民主の国、韓国を代表する文大統領に共産主義中国に行って祖国を「小さい国」と卑下し、5000万国民に羞恥心を抱かせた根拠が何か憲法的責務を問わざるを得ない。
ただでさえ、盧英敏(ノ・ヨンミン)駐中韓国大使が習主席に信任状を呈上しながら芳名録に「万折必東」と書いたのが問題になっている。万折必東とは、黄河の流れが数え切れないほど折れても結局は東に流れるように、天子に向かった諸侯の深い忠誠心を表す。先祖が明国に崇拝と感謝を表現する時に使ったという。
もう一度文大統領の演説に戻ってみよう。彼は「韓国には中国の英雄を賛える記念碑と霊廟がある。光州市(クァンジュシ)には中国人民解放軍歌を作曲した韓国の音楽家、チョン・ユルソンさんを記念する『チョン・ユルソン路』がある」と述べた。大統領演説文の作成者はチョン・ユルソンさんが北朝鮮軍歌である朝鮮人民軍行進曲の作曲者という事実を知っているのだろうか。チョン・ユルソンさんは1950年、韓国戦争(朝鮮戦争)で北朝鮮が韓国を攻撃した際、中国八路軍に混ざって抗米援朝(米国と戦って朝鮮を支援する)戦争に参加した。彼は『共和国の旗が風にはためく』のような数多くの戦争歌を作り、金日成(キム・イルソン)主席の寵愛を一身に受けた。
チョン・ユルソンさんが社会主義者として日帝強占期に独立のために努力したという点は認められる。だからといって自由民主主義の韓国を共産化するために北朝鮮の戦争犯罪の先頭になった罪まで免責することはできない。大統領の演説文には、中国の偉大さを称賛するために彼らが過去韓国をなくそうとした敵国だったという歴史認識がまったく見えない。代わりに、大韓民国を朝鮮民主主義人民共和国に赤化し、自由民主の種を絶やそうとした金日成主席の側近を英雄に称えた。この国の品格の凄まじい墜落とアイデンティティの破壊に誰が責任を負うだろうか。
チョン・ヨンギ/中央日報コラムニスト
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