北朝鮮の相次ぐ核実験とミサイル挑発で戦雲が垂れ込める韓半島(朝鮮半島)で、大統領弾劾と新大統領選出という立憲民主主義の大きな危機を乗り越えた今年一年は、国の運に加えて我々の蓄積された民主文化の底力が作動した結果だったといえる。
しかし新年を迎えても北朝鮮の核をめぐる緊張と危機は続いて、さらに限界点に到達する可能性が高い。それは北朝鮮の核拡散を前に出した核戦争冒険にこれ以上耐えたり放置することはできないという広範囲な地球村の世論が力を得て、平和へ向かう決断の時間を催促するためだ。
30年ほどかけて持続的に拡大してきた北朝鮮の核問題をついに平和的解決の道に向かわせようとする主役が軍事力を強調するトランプ米大統領という事実は、歴史のちょっとしたアイロニーだ。これまで北朝鮮の核問題を放置したのは国連安保理の常任理事国である米中露など強大国指導者の怠慢のためだというトランプ大統領の指摘には説得力がある。核兵器拡散禁止を有効に執行する責任がある、特に東アジア唯一の核保有国である中国が、その特殊な位置を分け合うという北朝鮮のとんでもない試みを事実上放置したことを中国特有の大様さとして済ませるべきなのか、当惑する奇現象であるのは間違いない。
この1、2カ月間、トランプ大統領は北朝鮮に対し、核放棄カードには体制の保証と繁栄を、核保有には破滅という二者択一の決断を促した。中国をはじめとする国際社会が国連制裁に参加して北朝鮮の選択を助けるよう訴える一方、米国は北朝鮮の政権交代や体制崩壊を計画せず急速な統一や米軍の38度線北側進入もないとし、これを確約するために米国特使を北朝鮮に派遣すると公言した。
このようなトランプ大統領の提案と国際社会の世論で中国とロシアも国連制裁決議案に賛成することで、北朝鮮の決断を促すように見えた。さらに2カ月半にわたる北朝鮮の核・ミサイル実験中断を、米国との談判を控えた金正恩(キム・ジョンウン)委員長が平和に向かう決断を準備する兆候と拡大解釈する希望的な観測もあったのが事実だ。しかし29日未明に北朝鮮が発射した長距離ミサイルは「核には核で」対処するという金正恩委員長の挑戦的メッセージが載せられていて、韓半島と東アジアは戦争と平和の岐路に立っているということが再確認させた。
しかし75日ぶりに発射された北朝鮮のミサイルは、おそらく米国本土を狙って正確性と破壊力が完成段階に近いことを知らせながら、結局は米国が妥協のための協議に入るだろうという金正恩委員長の希望が載せられているとも見ることができる。ただ、「北朝鮮のミサイルは我々が処理する」として非核化と平和へ向けた北朝鮮の選択を迫る最大限の圧力は続くというトランプ大統領の反応は、これ以上は核拡散と核戦争の動力を放置しないという米国と国際社会の覚悟を反映している。
ここで注目すべき点は、核拡散と核戦争の脅威は韓半島に限られたものでなく、東アジア全般、さらには全地球的な問題という認識だ。北朝鮮の核を容認すれば、東アジアでの核拡散は必然的という結論に到達する。トランプ大統領が推進する北朝鮮の非核化は、これに対する東アジアのすべての国家、特に現在唯一の核保有強大国である中国の積極的な理解と参加がある場合にのみ成功する。こうした米国と東アジア諸国の合意が緊急の先決条件という状況で、2週後に予定された文在寅大統領と習近平国家主席の韓中首脳会談に対する期待は極めて大きい。
北朝鮮の核をめぐる関係国の反応が複雑に絡む一つの原因は、中国の立場を正確に把握できないところにある。北朝鮮が非核化をずっと拒否する場合、これに対処する周辺国の核兵器保有の動きにも中国は北朝鮮に適用したものと同じ基準で行動するのか、明確な立場を知りたいということだ。これがまさに今回の首脳会談を注視する国際社会の関心だ。北朝鮮の核の脅威を意識して非核化が難しいのなら、自国の核保有を好む国民が大多数である韓国の特殊状況に対する中国の理解を促す必要もある。そしてこの機会に米国と中国が共に北朝鮮の非核化決断を誘導するよう繰り返し要求し、米中間の戦略的均衡をめぐる問題は両大国間の協議事案であるため韓国が乗り出すのは適切でないという点を率直に表明する必要がある。東アジアの平和の必須要件である韓日中3者協力関係を、非核化後には韓日中朝4者平和共同体に発展させていこうという長期的な構想は、韓中首脳が共有できる歴史的ビジョンになる可能性もある。
李洪九(イ・ホング)/元首相/中央日報顧問
しかし新年を迎えても北朝鮮の核をめぐる緊張と危機は続いて、さらに限界点に到達する可能性が高い。それは北朝鮮の核拡散を前に出した核戦争冒険にこれ以上耐えたり放置することはできないという広範囲な地球村の世論が力を得て、平和へ向かう決断の時間を催促するためだ。
30年ほどかけて持続的に拡大してきた北朝鮮の核問題をついに平和的解決の道に向かわせようとする主役が軍事力を強調するトランプ米大統領という事実は、歴史のちょっとしたアイロニーだ。これまで北朝鮮の核問題を放置したのは国連安保理の常任理事国である米中露など強大国指導者の怠慢のためだというトランプ大統領の指摘には説得力がある。核兵器拡散禁止を有効に執行する責任がある、特に東アジア唯一の核保有国である中国が、その特殊な位置を分け合うという北朝鮮のとんでもない試みを事実上放置したことを中国特有の大様さとして済ませるべきなのか、当惑する奇現象であるのは間違いない。
この1、2カ月間、トランプ大統領は北朝鮮に対し、核放棄カードには体制の保証と繁栄を、核保有には破滅という二者択一の決断を促した。中国をはじめとする国際社会が国連制裁に参加して北朝鮮の選択を助けるよう訴える一方、米国は北朝鮮の政権交代や体制崩壊を計画せず急速な統一や米軍の38度線北側進入もないとし、これを確約するために米国特使を北朝鮮に派遣すると公言した。
このようなトランプ大統領の提案と国際社会の世論で中国とロシアも国連制裁決議案に賛成することで、北朝鮮の決断を促すように見えた。さらに2カ月半にわたる北朝鮮の核・ミサイル実験中断を、米国との談判を控えた金正恩(キム・ジョンウン)委員長が平和に向かう決断を準備する兆候と拡大解釈する希望的な観測もあったのが事実だ。しかし29日未明に北朝鮮が発射した長距離ミサイルは「核には核で」対処するという金正恩委員長の挑戦的メッセージが載せられていて、韓半島と東アジアは戦争と平和の岐路に立っているということが再確認させた。
しかし75日ぶりに発射された北朝鮮のミサイルは、おそらく米国本土を狙って正確性と破壊力が完成段階に近いことを知らせながら、結局は米国が妥協のための協議に入るだろうという金正恩委員長の希望が載せられているとも見ることができる。ただ、「北朝鮮のミサイルは我々が処理する」として非核化と平和へ向けた北朝鮮の選択を迫る最大限の圧力は続くというトランプ大統領の反応は、これ以上は核拡散と核戦争の動力を放置しないという米国と国際社会の覚悟を反映している。
ここで注目すべき点は、核拡散と核戦争の脅威は韓半島に限られたものでなく、東アジア全般、さらには全地球的な問題という認識だ。北朝鮮の核を容認すれば、東アジアでの核拡散は必然的という結論に到達する。トランプ大統領が推進する北朝鮮の非核化は、これに対する東アジアのすべての国家、特に現在唯一の核保有強大国である中国の積極的な理解と参加がある場合にのみ成功する。こうした米国と東アジア諸国の合意が緊急の先決条件という状況で、2週後に予定された文在寅大統領と習近平国家主席の韓中首脳会談に対する期待は極めて大きい。
北朝鮮の核をめぐる関係国の反応が複雑に絡む一つの原因は、中国の立場を正確に把握できないところにある。北朝鮮が非核化をずっと拒否する場合、これに対処する周辺国の核兵器保有の動きにも中国は北朝鮮に適用したものと同じ基準で行動するのか、明確な立場を知りたいということだ。これがまさに今回の首脳会談を注視する国際社会の関心だ。北朝鮮の核の脅威を意識して非核化が難しいのなら、自国の核保有を好む国民が大多数である韓国の特殊状況に対する中国の理解を促す必要もある。そしてこの機会に米国と中国が共に北朝鮮の非核化決断を誘導するよう繰り返し要求し、米中間の戦略的均衡をめぐる問題は両大国間の協議事案であるため韓国が乗り出すのは適切でないという点を率直に表明する必要がある。東アジアの平和の必須要件である韓日中3者協力関係を、非核化後には韓日中朝4者平和共同体に発展させていこうという長期的な構想は、韓中首脳が共有できる歴史的ビジョンになる可能性もある。
李洪九(イ・ホング)/元首相/中央日報顧問
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