韓国と中国が外交葛藤の中でも経済的実利を選んだ。
THAAD(高高度ミサイル防衛体系)配備をめぐる葛藤で韓中通貨スワップの延長は不透明だった。だが、両国は交渉を継続して通貨スワップの延長に事実上合意した。
韓中通貨スワップの延長で韓国は外国為替安全弁を維持することができるようになった。ことし1月に日本との通貨スワップ再開交渉が決裂したあと、もし韓中通貨スワップまでなくなってしまえば、外国為替管理に大きな負担を背負い込むことになる。
人民元の国際化を推し進めている中国の立場でも、香港(4000億人民元)に次いで規模が2番目に大きい韓中通貨スワップを維持し、人民元の地位強化に弾みをつけることができるようになった。THAAD葛藤の最中にも韓中が通貨スワップ延長に合意し、日本と違う道を歩むことになった。
ひとまず韓国金融当局は韓中通貨スワップの延長合意に用心深い立場を取っている。この日、金融経済状況点検会議のために出行した韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は「通貨スワップの新規交渉か、再延長かは重要ではない」とし「当面は(通貨スワップに関連して)別途言及するのは不適切」と述べた。
通貨スワップは、契約締結国間で特定の日や期間(満期)を決め、期間内にあらかじめ約束した為替レートで互いの通貨を融通し合う外国為替取引だ。本来は金融市場で取り引きされる派生商品の一つだった。
だが、外国為替危機や世界金融危機を経て、各国中央銀行間の通貨スワップ協定が注目を浴びるようになった。必要に応じて自国通貨を相手の中央銀行に預け、その額に相応する外貨を借りて使えるためで、「マイナス通帳外貨版」とも言える。
韓国銀行によると、韓中通貨スワップ規模は3600億人民元(約560億ドル)だ。複数国間の契約によるチェンマイ・イニシアチブ・マルチ(CMIM)で借りることができる384億ドルを含めると、韓国の総契約締結額(1222億ドル)の46%を占める。
反面、韓中通貨スワップ規模は中国の二国間通貨スワップ総額の11.8%に過ぎない。中国人民銀行によると、7月末現在の同国の通貨スワップ規模は3兆590億人民元だ。韓国を含めた金額だ。中国は人民元の国際化を推し進め、香港(4000億人民元)と英国(3500億人民元)、欧州中央銀行(ECB・3500億人民元)など32カ国の中央銀行と通貨スワップ契約を結んでいる。
中央銀行間の通貨スワップが初めて登場したのは2001年9・11テロの時だ。金融市場の一時的な流動性の硬直を防ぐために、米連邦準備制度理事会(FRB)は英国・カナダ・ECBと900億ドル規模の通貨スワップ協定を結んだ。期間は30日と短かった。
世界金融危機に直面し、通貨スワップは国際通貨体系の重要手段として脚光を浴びるようになった。世界金融市場の信用不安を防ぐためにFRBが通貨スワップラインを通じて外国為替のセーフティネットを構築した。FRBは2007~2008年にECB・スイス・韓国など14カ国の中央銀行と二国間通貨スワップ協定を結んだ。締結額だけで5800億ドルに達した。国際通貨基金(IMF)の資金供与額の4倍に達する額だった。
フランス最大のシンクタンク「国際経済予測研究 センター(CEPII)」は「通貨スワップを通じてFRBが全世界の『最後の貸し手(Lender of Last Resort)』という役割を担うことになった」とし「ブレトンウッズ体制崩壊後に発生した通貨と金融市場の不安定を扱う最新手段として通貨スワップが登場した」と分析した。
CEPIIによると、中央銀行間の通貨スワップは、中央銀行の無制限的かつ排他的な通貨創出能力と国際資本の変動性が結合して現れた産物だ。例外的かつ一時的な手段だが、外貨不足によって流動性の危機に直面した場合、外貨準備高同様に使えるため外国為替当局にとっては「保険」の性格が強い。
韓中、THAAD葛藤にも実利優先… 3600億人民元の「外貨安全弁」守る(2)
THAAD(高高度ミサイル防衛体系)配備をめぐる葛藤で韓中通貨スワップの延長は不透明だった。だが、両国は交渉を継続して通貨スワップの延長に事実上合意した。
韓中通貨スワップの延長で韓国は外国為替安全弁を維持することができるようになった。ことし1月に日本との通貨スワップ再開交渉が決裂したあと、もし韓中通貨スワップまでなくなってしまえば、外国為替管理に大きな負担を背負い込むことになる。
人民元の国際化を推し進めている中国の立場でも、香港(4000億人民元)に次いで規模が2番目に大きい韓中通貨スワップを維持し、人民元の地位強化に弾みをつけることができるようになった。THAAD葛藤の最中にも韓中が通貨スワップ延長に合意し、日本と違う道を歩むことになった。
ひとまず韓国金融当局は韓中通貨スワップの延長合意に用心深い立場を取っている。この日、金融経済状況点検会議のために出行した韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は「通貨スワップの新規交渉か、再延長かは重要ではない」とし「当面は(通貨スワップに関連して)別途言及するのは不適切」と述べた。
通貨スワップは、契約締結国間で特定の日や期間(満期)を決め、期間内にあらかじめ約束した為替レートで互いの通貨を融通し合う外国為替取引だ。本来は金融市場で取り引きされる派生商品の一つだった。
だが、外国為替危機や世界金融危機を経て、各国中央銀行間の通貨スワップ協定が注目を浴びるようになった。必要に応じて自国通貨を相手の中央銀行に預け、その額に相応する外貨を借りて使えるためで、「マイナス通帳外貨版」とも言える。
韓国銀行によると、韓中通貨スワップ規模は3600億人民元(約560億ドル)だ。複数国間の契約によるチェンマイ・イニシアチブ・マルチ(CMIM)で借りることができる384億ドルを含めると、韓国の総契約締結額(1222億ドル)の46%を占める。
反面、韓中通貨スワップ規模は中国の二国間通貨スワップ総額の11.8%に過ぎない。中国人民銀行によると、7月末現在の同国の通貨スワップ規模は3兆590億人民元だ。韓国を含めた金額だ。中国は人民元の国際化を推し進め、香港(4000億人民元)と英国(3500億人民元)、欧州中央銀行(ECB・3500億人民元)など32カ国の中央銀行と通貨スワップ契約を結んでいる。
中央銀行間の通貨スワップが初めて登場したのは2001年9・11テロの時だ。金融市場の一時的な流動性の硬直を防ぐために、米連邦準備制度理事会(FRB)は英国・カナダ・ECBと900億ドル規模の通貨スワップ協定を結んだ。期間は30日と短かった。
世界金融危機に直面し、通貨スワップは国際通貨体系の重要手段として脚光を浴びるようになった。世界金融市場の信用不安を防ぐためにFRBが通貨スワップラインを通じて外国為替のセーフティネットを構築した。FRBは2007~2008年にECB・スイス・韓国など14カ国の中央銀行と二国間通貨スワップ協定を結んだ。締結額だけで5800億ドルに達した。国際通貨基金(IMF)の資金供与額の4倍に達する額だった。
フランス最大のシンクタンク「国際経済予測研究 センター(CEPII)」は「通貨スワップを通じてFRBが全世界の『最後の貸し手(Lender of Last Resort)』という役割を担うことになった」とし「ブレトンウッズ体制崩壊後に発生した通貨と金融市場の不安定を扱う最新手段として通貨スワップが登場した」と分析した。
CEPIIによると、中央銀行間の通貨スワップは、中央銀行の無制限的かつ排他的な通貨創出能力と国際資本の変動性が結合して現れた産物だ。例外的かつ一時的な手段だが、外貨不足によって流動性の危機に直面した場合、外貨準備高同様に使えるため外国為替当局にとっては「保険」の性格が強い。
韓中、THAAD葛藤にも実利優先… 3600億人民元の「外貨安全弁」守る(2)
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