安倍晋三首相
自由民主党憲法改正推進本部は12日、全体会合を開き、「戦争放棄」と「戦力不保有」を明記した憲法9条についての改憲議論を再開した。憲法改正推進本部の全体会議は約40日ぶりで、9条に対する話し合いが再開されたのはことし6月以降約3カ月ぶりだ。
保岡興治本部長はこの日、現行9条第1・2項は残したまま、自衛隊の存在を明記する改憲案を近く提示すると明らかにした。「自衛隊明記案」は改憲の話し合いがなかなか進まないことを受けて、ことし5月に安倍首相が出した折衷案だ。
時事通信によると、この日の全体会合では「自衛隊明記案」にほぼ全員が賛成するような雰囲気だった。「北朝鮮の情勢もあり、改正を進めるには今が非常に重要だ」「(衆参両院で)3分の2を持っている今が千載一遇のチャンスだ」という意見もあったという。
保岡氏は改憲時期に関連し、来年定期国会に改憲案を発議するという方針も改めて確認した。先月、安倍首相が改憲時期に関連して「スケジュールありきではない」として一歩後退したのとは180度異なる姿勢だ。
このために連立政府のパートナーである公明党と日本維新の会との話し合いにも速度を出していく兆しだ。保岡氏は「国民投票、あるいは3分の2の発議といったことを念頭に、具体的なテーマを、しっかりわが党がリードして、(憲法改正案を)国会に示していく」と述べ、出席者に活発な意見交換を要請した。
自民党がこのように改憲議論を急ぐ背景には、最近、安倍内閣の支持率が回復傾向を示していることと無関係ではないという分析だ。最近、各種世論調査で安倍内閣の支持は非支持を上回るか、ほぼ同じ水準で推移している。一部の世論調査では内閣支持率が50%ラインを回復するなど、加計学園スキャンダル以前の水準を回復しつつある。
だが、改憲議論が自民党の希望通りに進むかは不透明だ。国民の大多数は依然として9条改正に否定的な意見を示しているためだ。
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