北朝鮮の6回目の核実験を受け、米国が11日の採択を目標に国連安全保障理事会の新たな対北朝鮮制裁決議案の準備に入った。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「北の海外労働者の輸入禁止など外貨収入源を根本的に遮断することを安保理で真摯に検討すべき時」(4日のプーチン露大統領と電話会談)と、具体的に労働者派遣問題を取り上げた。北朝鮮の海外労働者の実態を見てみよう。5万人以上が一日16時間ずつ働き、金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長に毎年12億-23億ドル(約1350億-2600億円)の核資金を握らせている。
(1)賃金の90%が労働党39号室へ
2015年10月当時、国連北朝鮮人権特別報告者のダルスマン氏は国連に提出した人権報告書で、北朝鮮の海外派遣労働者の規模を5万人以上と把握した。
労働者が稼いだ金は北朝鮮の外貨獲得を総括する労働党39号室に流れていくという。対北朝鮮消息筋は「5万人は保守的な数値であり、多ければ10万人」とし「国際社会の制裁が強まると、当局は昨年から上納金を2、3倍に増やし、あらゆる名目で強制徴収をしている」と述べた。また「労働者は現地で本業のほかに別のアルバイトをする状況まで発生している」と説明した。
ダルスマン氏の報告書は北朝鮮労働者が派遣された国にロシア・中国・アルジェリア・アンゴラ・赤道ギニア・エチオピア・クウェート・リビア・マレーシア・モンゴル・ミャンマー・ナイジェリア・オマーン・ポーランド・カタール・アラブ首長国連邦(UAE)などを挙げた。
最も多くの労働者が派遣されている国はロシアだ。2万人以上が伐木などの仕事をしているという。非政府機構の北朝鮮人権情報センター(NKDB)の関係者は「海外労働者の証言によると、賃金の90%が家賃・食費など各種名目で労働者を送り出した北の機関に流れ、労働者は10%程度だけ現地の貨幣で受領する」と説明した。ダルスマン氏も「北朝鮮の労働者は鉱山、伐採場、建設現場、繊維および衣類工場などで働き、月に平均120-150ドルを受ける」とし「このように稼いだ年間12億-23億ドルの相当部分が北朝鮮政府に流れる」と明らかにした。
(2)金融送金がふさがると人が外貨運搬
北朝鮮の海外労働者は外貨運搬の役割もする。平均3年間の派遣を終えて北朝鮮に戻る際、自ら多額のお金を持って動く。安保理は大量破壊兵器(WMD)開発に使われるおそれがある北朝鮮への大量現金(bulk cash)流入を禁止している。4回目の核実験後、昨年3月に採択された国連安保理決議2270号から、北朝鮮の国際金融網接近を遮断する制裁が本格化すると、北朝鮮はよりいっそう積極的に労働者を運搬のために利用している。
今年6月にはロシアのウラジオストク空港で2万5000ドルをかばんに隠して平壌(ピョンヤン)行きの飛行機に乗ろうとした北朝鮮人1人が税関に摘発された。ウラジオストク空港では3月にも3万3000ドルを不法搬出しようとした北朝鮮人が逮捕された。昨年3月にはオマーンからスリランカ経由で中国北京に向かっていた北朝鮮人2人がスリランカのコロンボ空港で乗り換えする際、16万8000ドルの現金所持で税関に摘発された。
(3)焼身自殺、黄熱病で集団死亡
峨山政策研究院が面談調査の内容などに基づいて2014年に出した報告書によると、北朝鮮の海外労働者は一日平均12-16時間働く。休みは月に一日ほどだ。
外交筋は「昨年、ロシアでは上納金の督促に苦しむ北の労働者が体に火をつけて飛び降り自殺をした。アンゴラでは予防注射をしていない北の数十人の労働者が黄熱病で死亡した」と伝えた。先月5日に採択された安保理決議2371号は初めて北朝鮮の海外労働者問題を扱った。決議採択時点から北朝鮮労働者の派遣を受け入れないよう決定した。一種の「凍結」措置ということだ。安保理決議の「決定」は加盟国が遵守しなければいけない義務事項だ。
韓日米は追加の決議にはさらに強硬な内容が盛り込まれるべきという立場を見せている。政府関係者は「北の国籍者は何人以上は使えないよう上限を設定する方法もあるが、具体的な統計が把握されていないのが問題」と話した。
金正恩、核資金はどこから出るのか…(2)もう一つの収入源「衣類輸出」
金正恩、核資金はどこから出るのか…(3)北の命綱「朝中間パイプライン」
(1)賃金の90%が労働党39号室へ
2015年10月当時、国連北朝鮮人権特別報告者のダルスマン氏は国連に提出した人権報告書で、北朝鮮の海外派遣労働者の規模を5万人以上と把握した。
労働者が稼いだ金は北朝鮮の外貨獲得を総括する労働党39号室に流れていくという。対北朝鮮消息筋は「5万人は保守的な数値であり、多ければ10万人」とし「国際社会の制裁が強まると、当局は昨年から上納金を2、3倍に増やし、あらゆる名目で強制徴収をしている」と述べた。また「労働者は現地で本業のほかに別のアルバイトをする状況まで発生している」と説明した。
ダルスマン氏の報告書は北朝鮮労働者が派遣された国にロシア・中国・アルジェリア・アンゴラ・赤道ギニア・エチオピア・クウェート・リビア・マレーシア・モンゴル・ミャンマー・ナイジェリア・オマーン・ポーランド・カタール・アラブ首長国連邦(UAE)などを挙げた。
最も多くの労働者が派遣されている国はロシアだ。2万人以上が伐木などの仕事をしているという。非政府機構の北朝鮮人権情報センター(NKDB)の関係者は「海外労働者の証言によると、賃金の90%が家賃・食費など各種名目で労働者を送り出した北の機関に流れ、労働者は10%程度だけ現地の貨幣で受領する」と説明した。ダルスマン氏も「北朝鮮の労働者は鉱山、伐採場、建設現場、繊維および衣類工場などで働き、月に平均120-150ドルを受ける」とし「このように稼いだ年間12億-23億ドルの相当部分が北朝鮮政府に流れる」と明らかにした。
(2)金融送金がふさがると人が外貨運搬
北朝鮮の海外労働者は外貨運搬の役割もする。平均3年間の派遣を終えて北朝鮮に戻る際、自ら多額のお金を持って動く。安保理は大量破壊兵器(WMD)開発に使われるおそれがある北朝鮮への大量現金(bulk cash)流入を禁止している。4回目の核実験後、昨年3月に採択された国連安保理決議2270号から、北朝鮮の国際金融網接近を遮断する制裁が本格化すると、北朝鮮はよりいっそう積極的に労働者を運搬のために利用している。
今年6月にはロシアのウラジオストク空港で2万5000ドルをかばんに隠して平壌(ピョンヤン)行きの飛行機に乗ろうとした北朝鮮人1人が税関に摘発された。ウラジオストク空港では3月にも3万3000ドルを不法搬出しようとした北朝鮮人が逮捕された。昨年3月にはオマーンからスリランカ経由で中国北京に向かっていた北朝鮮人2人がスリランカのコロンボ空港で乗り換えする際、16万8000ドルの現金所持で税関に摘発された。
(3)焼身自殺、黄熱病で集団死亡
峨山政策研究院が面談調査の内容などに基づいて2014年に出した報告書によると、北朝鮮の海外労働者は一日平均12-16時間働く。休みは月に一日ほどだ。
外交筋は「昨年、ロシアでは上納金の督促に苦しむ北の労働者が体に火をつけて飛び降り自殺をした。アンゴラでは予防注射をしていない北の数十人の労働者が黄熱病で死亡した」と伝えた。先月5日に採択された安保理決議2371号は初めて北朝鮮の海外労働者問題を扱った。決議採択時点から北朝鮮労働者の派遣を受け入れないよう決定した。一種の「凍結」措置ということだ。安保理決議の「決定」は加盟国が遵守しなければいけない義務事項だ。
韓日米は追加の決議にはさらに強硬な内容が盛り込まれるべきという立場を見せている。政府関係者は「北の国籍者は何人以上は使えないよう上限を設定する方法もあるが、具体的な統計が把握されていないのが問題」と話した。
金正恩、核資金はどこから出るのか…(2)もう一つの収入源「衣類輸出」
金正恩、核資金はどこから出るのか…(3)北の命綱「朝中間パイプライン」
この記事を読んで…