ワールドカップ（Ｗ杯）本大会進出チケットをかけた一戦を控えた両チームの前日の公式記者会見。一般的な状況であれば試合への意気込み、相手チームの分析や警戒する選手など試合に関する質問が多く行われる。両チームの監督はメディア、さらに国民のために情報を提供しながらも、お互いの作戦を隠すために激しい頭脳戦を繰り広げ、選手は強い覚悟を表してファンを安心させる場がこの公式記者会見だ。

しかしウズベキスタン代表のババヤン監督（４６）には公式記者会見が全く違う意味で行われた。５日夜１２時（日本時間）にウズベキスタン・タシケントのブニョドコルスタジアムで行われる２０１８ロシアＷ杯アジア最終予選の韓国戦を控え、前日の公式記者会見を行ったババヤン監督は、３０分間ほどメディアの「詰問」に苦しめられた。ウズベキスタン取材陣は誰一人として韓国戦に関心がないかのように、中国に敗れて帰国したババヤン監督を責めた。この日の記者会見はババヤン監督に中国戦の敗戦を問いただす一種の「聴聞会」のようだった。

理由は明確だった。最終予選でのウズベキスタンの深刻な不振だ。ウズベキスタンは最終予選第２ラウンドに入ってから１勝３敗と振るわず、「伏兵」シリアに抜かれて組４位にまで落ちた。６日の韓国戦で勝てば本大会進出の望みはつながるが、監督に対する怒りはすでにあまりにも膨らんでいた。


第９戦で中国に０－１で敗れたことは、ババヤン監督への怒りをかき立てる事件だった。

韓国戦の記者会見のためババヤン監督が席に座ったその瞬間から、中国戦に関する質問ばかりが続いた。代表選手の名前が質問の中で飛び交い、韓国の取材陣はあっという間に脇役になった。取材陣はババヤン監督に中国戦の敗因と選手起用、そして監督の資格を追及し、ババヤン監督も時々ため息をつきながら、やや興奮した声で取材陣の質問に反論した。

ババヤン監督に対する批判は最近のことではない。匿名を求めたウズベキスタンの記者は「彼の選手選抜と起用方式は理解できない。選手を最適なポジションに入れず、実力がある選手を理解しがたい理由でベンチに座らせている」とし「重要な試合を控えている状況だが、我々はこの問題について話さないわけにはいかなかった」と説明した。別の関係者も「中国に敗れた後、我々はババヤン監督から何の話も聞くことができなかった。この日の記者会見が質問できる最初の機会だったため、やむを得なかった」と韓国戦に関する質問がなかった理由を説明した。韓国をはじめとする多くの国が帰国インタビューや公開練習時にインタビューを行うのとは違い、ウズベキスタンの自由でないメディア環境もババヤン監督に対する不信感を深めることになった。

しかし約３０分後に行われた申台龍（シン・テヨン）監督の記者会見では全く違う姿が演出された。これまでババヤン監督を責めていたウズベキスタンの記者らは、申監督に向けては挑発的な質問を続けた。最初にマイクを握ったウズベキスタンの記者が「試合の結果によってＷ杯進出チームが決まる状況だ。韓国が敗れればプレーオフに回ることになるが準備はしているのか」という質問で始まった。

申監督は落ち着いて対応した。「プレーオフは全く準備していない。我々はウズベキスタンに勝つために来たため、そのような考えは全くしていない」と強調した。しかしウズベキスタン取材陣の挑発は続いた。次の記者が「シリア－イラン戦の結果によって場合の数が生じるが、どう考えているか」と敗戦を暗示する質問をした。申監督は苦笑を見せた後、もう一度「場合の数は考えない」と断言した。

ウズベキスタン取材陣の挑発は記者会見の終了直前にまた続いた。最後の質問が終わった後に手を挙げたウズベキスタンの記者が「最終予選のアウェーで１勝もしていないが、今回の対戦での勝利にどう自信を持つのか」と尋ねたのだ。ここまでくると、あきれる表情を隠すのが大変だった。申監督は「それで勝つためにここに来た」という言葉を返答にして席から立った。

攻撃的なウズベキスタン取材陣の質問は、明らかに申監督を刺激するための挑発だった。しかしその前にババヤン監督の記者会見を見たためか、攻撃的な質問はすべて虚勢のように感じられた。韓国取材陣の前でババヤン監督に向けた混乱と不信感をそのまま表した状況で、虚勢を張った挑発でバランスを取ろうとしているように見えたということだ。そしてその虚勢の底には、監督に対する不信感と不満を抱きながらも、とにかくＷ杯本大会進出という夢は成し遂げたいという、二律背反的な欲望が込められていたのかもしれない。しかしこの日の記者会見ではっきりと表れたのは、ウズベキスタン代表が内外的にかなり不安な状況に直面しているという事実だ。