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【コラム】産業競争力高めるには賃金体系の先進化から=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
韓国の大多数の製造業者の賃金体系は基本給と賞与金、成果給、時間外労働にともなう加算手当て(延長・夜間・休日)、その他手当ての5項目で構成されている。細部的に個人成果給、経営成果級、定期賞与金、特殊賞与金、年次有給休暇手当て・技術手当て・勤続手当て・家族手当て・交通手当てなどがあり非常に複雑な形態だ。

すべての賃金項目の算定基礎になる「基本給」自体が勤務年次により毎年自動で引き上げられる号俸制のため、韓国の賃金体系は個人別の能力や成果、生産性とは関連性が低く、生涯周期にともなう生活費補填の性格が強い。こうした賃金体系は産業化初期に単純技能と低賃金労働による低価格製品生産段階で企業が労働者の生計を支えるのにぴったりだった。だが現在のように産業構造が高度化され、賃金水準も先進国に迫り、グローバル市場を対象に激しい競争をしなければならない状況ではむしろ企業の価格競争力と産業の国際競争力を弱める後進的パラダイムになっている。市場や経営環境をしっかりと反映できていない賃金体系のため労使が毎年賃金項目別に対立的で消耗的な賃金闘争を繰り返しながら引き上げているのだ。

これとともに韓国政府の賃金政策と関連し、通常賃金、最低賃金、平均賃金があるがこれらの概念が不明確だったり互いに相反する面があり、司法的争議訴訟を誘発して副作用を伴い結局企業の賃金費用負担を加重させている。


「通常賃金」は時間外労働手当ての算定基準としてこの30年間にわたり政府指針と労使間合意により「基本給」だけを含んでいたが、3年前に大法院(最高裁)が定期的・一律的・固定的に支給される賞与金と手当てまで含むよう新たに定義したことで会社ごとに法的争いに頭を痛めている。年間基本給700%を定期賞与金として支給してきた会社なら突然通常賃金算定基準賃金が50%以上高まることになり莫大な負担を抱え込むことになる。

「最低賃金」は「基本給」だけを対象に強制適用されるため、最低賃金を上げれば大多数の賃金項目が自動的に上昇する。現在大多数の製造業の労働者の年俸は通常月基本給の25倍程度のため、最低賃金を時間当たり1000ウォン上げれば月20万ウォン、年俸では500万ウォン引き上げられる。「平均賃金」は年次有給休暇手当てと退職金の算定基準になるが、労働者に最大限の恩恵を与えるため「支給されたすべての賃金総額」を基礎に算出される。こうした通常賃金、最低賃金、平均賃金制度も経済・経営的側面よりは社会的・司法的観点で扱われており、最近は最低賃金も高まり通常賃金に賞与金まで含まれることになったことで韓国の賃金体系全項目で企業競争力を圧迫している。

米国やドイツなど先進国の賃金体系は基本給、成果給、時間外手当ての3項目の構造であり、基本給は年次や年齢と関係なく職務に基盤を置いている。成果給は支給率が公式のように決まっており争いの素地は少ない。すなわち労使が賃金項目別に争わず、企業競争力を総合評価して協議し反映できる構造で、賃金交渉も3~4年周期で行う。通常賃金や平均賃金に関する法規定も最初からない。日本の場合も号俸制を職務給に転換中で、過渡期的に職能給体系を導入している。

したがっていまや韓国も職務と成果を中心に賃金項目を3~4項目に統合し、通常賃金・最低賃金・平均賃金も合理的に再整備することで労使間交渉だけでなく政府の賃金政策決定にもグローバル競争力を最優先で考慮できる賃金パラダイムを先行的に構築しなければならない。こうした基盤の上で労使間のウィンウィンだけでなく社会統合と経済発展を調和させられる結果が導出されるだろう。

懸案である通常賃金問題も会社の賃金競争力負担を加重させず、代わりに賃金体系の先進化という国政課題を解決していく契機にすることが国家的に望ましいと言えるだろう。新しい酒は新しい革袋に入れなければならないように、先進競争国と戦っていける新しい賃金体系の中で賃金問題を取り除いてこそ韓国の製造業が活気を取り戻せる。

キム・ヨングン/韓国自動車産業協会会長



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