映画『軍艦島』で京城で敵なしのヤクザ役で登場する俳優ソ・ジソブ。(写真提供=CJエンターテインメント)
リュ・スンワン監督
俳優ファン・ジョンミン(中央)は権力に忠誠心を示して実利を取る人物として登場する。(写真提供=CJエンターテインメント)
リュ・スンワン監督の“二兎”とは歴史性と大衆性だ。映画としては扱われなかった素材「軍艦島」はそれだけ暗く悲劇的な歴史だ。2015年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産に登録された軍艦島は、日本が朝鮮人犠牲者を伝える案内センター設置などの約束をした期限がことし末に迫っている。軍艦島はまだ解決されていない敏感なイシューだ。実際、リュ・スンワン監督は公開に先立ち「『軍艦島』が単に映画を鑑賞するだけに終わるのではない、強烈な体験になることを願う」と述べた。歴史的な問題意識を提供することが第一の目的だ。
映画はその目的のために最善を尽くしている。画面いっぱいに広げられた旭日旗は真っ二つに裂け、日本の軍人は火に焼けて死ぬ渦中に首を切られる。朝鮮人は火炎瓶を作って日本に投げる。朝鮮人に対する暴力もまた赤裸々だ。性搾取と電気拷問から始まり、鋭い釘の上に人を転がして殺す方法まで、詳細な描写が出てくる。
ここまで見れば日帝時代を狙った重い歴史映画にも見えなくもない。だが、リュ・スンワンはさまざま人物を立体的に配置しながら行き過ぎた重量感を取り除いた。オ・ドンジン氏は「ストーリー自体は真剣そのものな素材だが、キャラクターと関係をうまく構成したおかげで観客に積極的に働きかけるものになっている」とコメントした。時代が変わるたびに自分の利益に忠実な楽団長、ひたすら信念だけで生きていく軍人など、各キャラクターが生き生きと表現されている。また、独立運動の過程で起きる裏切りや朝鮮人同士の序列化や暴力、朝鮮人と日本人の短いが本能的な連帯感のような装置は善と悪の区分を曖昧にしている。
映画『軍艦島』監督「全身を殴られたかのようなしびれを感じてもらいたかった」(2)
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