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【社説】文在寅政権の高速疾走を警戒する

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
文在寅(ムン・ジェイン)政権が疾走している。まさに破竹の勢いだ。国政企画諮問委員会が2日前、100大課題として整理した国政運営5カ年計画を発表したが、文在寅大統領の核心公約の多くはすでに推進されている。公共部門の非正規職員の正規職員転換が大統領の1号指示で始まり、脱原発意志は30%の工程が進んだ原発の強制中断につながった。最低賃金1万ウォン(約1000円)時代を開くために来年の最低賃金が過去最大の引き上げ幅で7350ウォンとなり、「積弊清算」スローガンは10年近く死文化した反腐敗関係機関協議会を復元させるにいたった。

一つ一つ見ると名分と論理がある政策だ。同じ仕事をしながらも非正規職員という理由で差別を受ける慣行はなくなるべきであり、一度の事故が災難を呼ぶ原発がなくてもよいのならそれは祝福であり、人間らしく生きる権利は否めない天賦人権であり、腐敗は成長と分配を同時に阻む致命的な社会悪であるのは間違いない。

問題は民主的な手続きと過程が省略され、過度に急いで進行される点だ。社会に及ぼす影響や経済的波及効果を分析して考慮し、補完策を用意するべきだが、あたかも軍事作戦のように強行する雰囲気だ。もちろん改革は執権初期の国政動力が強い時に集中してこそ成功する可能性が高いというのは万古不変の真理だ。3100年前の人物の姜太公も中国最初の統治兵法書『六韜』で「有利な機会を逃せばむしろ災いを呼ぶので、驚いた馬のように疾走して狂風のように強襲しろ」と助言した。


しかし新政権は5年任期の民主政府であることを忘れてはならない。5年という短い期間、社会のすべての弊害をすべて改革することは絶対に不可能であり、重点課題を選定して改革を手掛けても考えが違う人たちを説得する過程をたどらなければいけない。非正規職員の問題を見ても、年内に公共部門の期間制勤労者19万人を正規職員に転換するというのは雇用の二極化を解消する効果はあるが、国民の税金負担が増え、青年雇用が減る新たな問題を誘発するおそれがある。原発問題の場合、文大統領が「公約を強行せず公論化の過程をたどる」と述べたが、国の未来を左右するエネルギー対策を非専門家の市民陪審員団の決定に任せるというのは責任ある政権の姿勢とは言いにくい。最低賃金も多くの中小企業と自営業者を恐怖に追い込んでいる。

こうした副作用と後遺症を最小化するためには、任期内に改革を成し遂げるという欲を捨て、改革の礎石だけでも築くという姿勢で着実に解決していく必要がある。そうでなければ焦りの結果が数年後に社会経済的請求書となって返ってくる。国民が請求書を受けた後まで高い支持率が維持されると期待するのは愚かだ。2009年に54年ぶりに政権交代した日本の民主党が3年で政権を手放すことになり、今日まで支離滅裂を克服できないのも、無理な福祉を追求して穴が開いた財政を埋めるために消費税引き上げを推進した結果だった。政府は高速疾走をやめて国会をはじめとする関連団体、学界が参加した公聴会など、さまざまな声を聴く手続きを踏むことを願う。「国民協治」というナンセンスを捨てて野党を国政パートナーと認め、絶えず対話して説得していく必要がある。それだけが真の改革の成果を得る道だ。



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