史上初めて導入された大統領選挙事前投票結果は、政界だけでなく有権者にも驚きと新鮮な衝撃を投げかけている。４～５日の２日間にわたり行われた事前投票の投票率は２６．０６％（全有権者４２４７万９７１０人中１１０７万２３１０人が投票）だった。過去の事前投票中最高値だ。したがって９日の投票率まで合算すれば第１８代大統領選挙の投票率７５．８％を上回るだろうという見通しが出ている。

第１９代大統領選挙に対する有権者の高い関心は自身の権利を積極的に行使しようとする成熟した民主主義意識と大統領弾劾、ろうそく集会政局をたどりながら蓄積されたより良い大韓民国を作ろうと思う強烈な願いが込められたものとみなければならないだろう。

進歩か保守か、そしてどんな候補を支持するかを離れ、法が支配する公正な社会、努力しただけ代価を受けられる正しい社会、多様な価値が尊重される平和で自由な大韓民国に対する期待が今回の事前投票率で表出されたものという解釈だ。飛び石連休の中で多くの有権者が友人や家族とともに投票所を訪れた。出国に先立ち旅行カバンを持ったまま大切な１票を行使し、まるでお祭りのような雰囲気を演出したりもした。


そうした点から今回の大統領選挙は有権者意識と韓国の民主主義が１段階アップグレードされる大転換点になるのに十分だ。そうなるためには２日残った選挙運動期間中に各候補と政党がお祭りのような平和な雰囲気で選挙が行われるよう雰囲気をしっかりとつかむことが必要だ。いわゆる「支持層結集」という名分の下で眉をひそめさせる中傷宣伝や人身攻撃、フェイクニュース拡散のような醜態を見せ汚点と争いの種を残さないよう格別に注意を注がなければならないだろう。

時代精神もまた、協力政治と統合を要求している。第１９代大統領はだれが当選してもひとつの政党が独断的に国政を運営していくことができないよう構造化されている。国会議席分布がそうだ。「共に民主党」１２０議席、自由韓国党９４議席、国民の党４０議席、「正しい政党」２０議席、正義党６議席だ。だれになっても少数与党だ。協治を土台に置いた大連立は不可避になるほかない。また、現在までの世論調査結果を総合してみると半数以上の得票者が出てくる可能性も希薄に見える。４０％台の支持を得た候補が大統領になる公算が大きい。（中央ＳＵＮＤＡＹ第５３０号）



【社説】中傷や人身攻撃浴びせて統合政府を語れるか＝韓国（２）