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最近の韓国映画・ドラマのトレンドは? 悪に立ち向かう「正義」

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

ドラマ『被告人』

映画『再審』

映画『プリズン』

映画『普通の人』

「正義? この国にまだそんなものが残っているというのか」。映画『インサイダーズ/内部者たち』に登場したチンピラのアン・サング(イ・ビョンホン扮)は正義を叫ぶ検査ウ・ジャンフン(チョ・スンウ扮)にこう吐き捨てる。代わりに答えるなら「少なくとも大衆文化には残っている」。「正義」は映画やドラマなど韓国大衆文化に必ずと言っていいほど登場し、ヒットを約束する核心キーワードになった。「正義の商品化」「正義商業主義」などという言葉まで生まれている。

21日、視聴率28.3%(ニールセンコリア、全国基準)で放映が終了したSBS(ソウル放送)のドラマ『被告人』は、絶対悪人の財閥二世に立ち向かう、寃罪を着せられた検事の復しゅう劇を描いて高い視聴率を記録した。後続作として27日からスタートした『耳打ち』も警察が法匪(法盗賊)を懲らしめる内容を描いている。義賊ホン・ギルドンの物語を描いたMBC(文化放送)の『逆賊:民を盗んだ盗賊』、女性ヒロインが悪者を懲らしめるJTBC『力の強い女ト・ボンスン』も安定した視聴率をマークしている。弱者のために孤軍奮闘する弁護士の活躍を描いた『町の弁護士チョ・ドゥルホ2』も最近、撮影に入った。

映画も同じだ。『インサイダーズ/内部者たち』(707万人)、『マスター』(714万)、『ザ・キング』(531万)など、腐敗権力に立ち向かうヒット作が相次いでいる。公権力の犠牲になり、犯人に仕立て上げられてしまった背景を暴いていくフィクション映画『再審』(241万)に続き、刑務所の中の巨大悪を描いた『プリズン』や寃罪をこうむった警察官を描いた『普通の人』も最近公開された。さらに下半期には、現代史を扱った映画が「社会派ジャンル」に加勢する予定だ。「不道徳な既得権=悪」を懲らしめて正義を守り、社会的な怒りを発散する「社会派映画」の熱気に、楽しんで見ることのできるロマンスやコメディのようなジャンルは見る影もない。


このような「正義ブーム」は「現実では依然として正義が通らない」という不満の反動だと見ることができる。「現実では不可能なことを、映画を通じてカタルシスや代理満足を得ている」(大衆文化評論家のペ・クンナム氏)という解釈だ。大衆文化評論家のチョン・ドクヒョン氏は「最近の法廷ドラマの人気も法曹界に関する各種事件によって法に対する関心そのものが高まっていたところに、『有銭無罪、無銭有罪』という法に対する積もり積もった不信が重なった結果」と解説した。実際、先月『ザ・キング』を10回観賞したというパクさん(38、女性)は「当時、弾劾も進まず苦しい時局が続いていたが、映画を見るとすっきりするのでセリフを覚えるくらい見てしまった」と話した。

だが、大衆文化全般の画一化を懸念する声もある。映画評論家のパク・ウソン氏は「最近、似た構図の正義映画が再生産されて、幅広いジャンルの発展が衰えつつある」とし「一本調子の善悪構図に、ただ末梢的・刺激的に正義と悪の問題を扱うには限界がある」と指摘した。劇中の悪人が徐々に悪どくなっているのも共通点だ。『被告人』の場合、悪役のチャ・ミンホ(オム・ギジュン扮)の劇中の容疑は5人に対する殺人、2人に対する殺人教唆、死体遺棄教唆、殺人未遂教唆、誘拐教唆、証拠隠滅など数え上げればキリがないほどだ。チョン・ドクヒョン氏「悪役が凶悪であればあるほどクライマックスで得られるカタルシスも大きい」としながらも「悪を見つめる新しい見方や想像力の不在が残念だ」と指摘した。

忠南(チュンナム)大のユン・ソクジン教授は「朝鮮時代に両班(ヤンバン)層を嘲笑していた広場寸劇の後援者は何を隠そう両班だった」とし「不正と不条理に対する怒りをカタルシスと代理満足で気化させ、現実世界で向けるべき声を低くしている」とコメントした。「商品化された正義」が興行には有利でも、社会的批判意識を弱化させるおそれがあるという指摘だ。



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