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【コラム】夜に強い大統領を探しています=韓国(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
1986年2月、ソウル大学で起きたデモの途中に連行された大学生数十人が警察の取り調べを受けた。取材の過程で調書を見ると、一様に「独裁政権打倒など掛け声を3回叫んだ者」と書かれており、「大したことではないのでまもなく訓戒されるだろう」と伝えられた。学生たちの顔は明るくなった。しかし、意外にも検察は拘束令状を請求し、裁判所は一様に令状を発行した。暴力を振り回したことでも、国家を転覆したことでもなかったし、若い良心に従って言うべき事は言っただけなのに懲罰したわけだ。法治と多元主義の価値が冷え込んだ過酷な冬だった。

2017年の春はその年の冬とはまったく違う。異常な権力に対する批判を大学生だけに任せず、老若男女1600万人がろうそくを手にして大統領の退陣を叫んだが、誰も捕まえられたりはしなかった。国政壟断の主犯である元大統領の朴槿恵(パク・クネ)氏は憲法が定めた手続きに沿って罷免された。3年が過ぎるまで孟骨(メンゴル)水道に水葬されていたセウォル号は弾劾直後、水面の上に上がってきた。不正や野蛮の時代に弔鐘が鳴るやいなや、正義と理性の荘厳な歴史が繰り広げられている。

朴槿恵氏の悲劇は疎通と共感能力の不在にあった。他人の悲劇と不幸にそのように無関心だった前職大統領は、驚くべきことにも検察の取り調べを受けた後、なんと7時間も傍線を引きながら調書の修正を要求した。拘束が恐ろしかっただろう。それなら、沈没したセウォル号に閉じ込められた先生や学生たちが「生きて会おう」という最後の挨拶をやり取りしていた運命の7時間の間にも、思い煩いながら参謀らと膝を突き合わせて救助を指揮するべきだった。国民の命を守るために李貞美(イ・ジョンミ)裁判官のようにヘアロールを巻いたまま青瓦台(チョンワデ、大統領府)官邸から飛び出したとすれば「これが国か」という怒りの叫び声は聞こえなかっただろう。


「金の箸とスプーン(富裕層)」政治家である朴槿恵氏は、公開的に引用するほどエイブラハム・リンカーン元米大統領が好きだったが、真の姿は知らなかった。「土の箸とスプーン(貧困層)」出身の「2流弁護士」だったリンカーン元大統領は疎通と和合、優れた共感能力で成功した人だ。彼は南北戦争を指揮した途中に幼い息子を病で失った。当時、戦死者があまりにも多くて降神術が盛んに行われていたが、夫人のメアリー氏も死んだ息子に会うために霊媒を紹介してもらうほど自制力を失っていた。リンカーン氏の本人も大変だったが、顔に出さずに国民の痛みを心より慰めた。銃殺刑を宣告された脱営兵にまで人間的な憐憫を感じ、赦免権を最大限行使した大統領だった。自身よりは他人の不幸をもっと心を痛めていたというのが朴槿恵氏とは異なるリンカーン元大統領の姿だった。両側を合わせた戦死者の数が62万人に達した地獄のような4年間の内戦を勝利に導き、400万人の黒人奴隷を解放させることで統合の時代を切り開いたのはこのような利他性があったからだ。



【コラム】夜に強い大統領を探しています=韓国(2)

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