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【社説】水面上に姿を現したセウォル号、疑惑は払拭して痛みは癒されるべき

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
忍耐と苦痛の時間は長かった。1073日がかかった。冷たくて暗い44メートル下の海の中で横になっていた船体は黄金色に錆がついた惨憺たる姿だった。引き揚げ作業を見守っていた遺族は号泣した。国民の心も痛かった。搭乗者304人〔檀園(ダンウォン)高校の生徒266人を含む)が亡くなったセウォル号が再び水面上に上がってきた昨日、大韓民国の一日はそのように過ぎていった。2014年4月16日、全南珍島郡(チョンナム・チンドグン)の孟骨(メンゴル)水道に沈没して3年、引き揚げを推進して702日ぶりのことだ。

海洋水産部は、セウォル号を水面上13メートルまで引き揚げて24日の小潮期まで反潜水式船舶に移す予定だ。作業が順調に行われれば、セウォル号は来月5日を前後に木浦(モクポ)新港に移される。長さ145メートル、高さメートル、幅22メートルの巨大な船体であるだけに、最後まで安全に引き揚げをしなければならないだろう。

全国民に怒りや痛みを与えたセウォル号の引き揚げは終わりでなく始まりだ。3年を待ってきた9人の行方不明者の収拾と各種疑惑の解消、社会的葛藤と痛みの治癒、「安全大韓民国」の再設計が課題として残されているからだ。最も大きな争点は沈没の原因に対する疑惑だ。検察は過剰積載や固定ボルトの不良、船体構造の変更、未熟な操作などを原因として指摘された。だが、セウォル号を直接調査できないために「潜水艦衝突説」のような根拠のない疑惑やデマが出回っている。過剰積載の場合もそうだ。検察・警察合同捜査本部は、鉄筋286トンなど計2142トンを積載して承認積載量(987トン)を2倍を超えていたと推定した。一方、セウォル号特別調査委員会は鉄筋410トンを含めて計2215トンと主張した。一部の市民団体が済州(チェジュ)海軍基地用鉄筋を積んだせいで無理に運航して事故に遭ったと主張する理由だ。海洋警察が大統領報告用の動画を撮影しているうちに救助するゴールデンタイムを逃したという疑惑も相変わらず残っている。


セウォル号の引き揚げはこのような疑惑と不信を解消する機会でもある。核心証拠である船体が確保されて「セウォル号船体調査委員会特別法」も発効(21日)しただけに速かに船体調査委員会を構成しなければならない。6カ月間活動する専門家が科学的でかつ精密な「目」で疑惑を解消してほしい。その過程でいかなる政治的圧力や陣営論理が働いてはならない。そうなれば、遺族の痛みや悲しみ、国民の傷を癒すことはできないだろう。

政界はセウォル号を政略的に利用してはいけない。引き揚げ時期が朴槿恵(パク・クネ)前大統領の罷免にともなう大統領選政局と重なったうえにセウォル号3周忌もあまり残っていない。政界がセウォル号の問題を5月9日の大統領選まで先送りしようとすれば社会的対立や分裂がより深まる可能性がある。セウォル号の犠牲者に対する道理ではないばかりか、国民も決して許さないだろう。

セウォル号惨事以降、政府は国家改造まで掲げた。だが変わったことはほぼない。鉄道・火災・船舶大型人災事故が続いており、地震・鳥インフルエンザ(AI)・口蹄疫事態の時はコントロールタワーまで崩れた。そのような二の舞を踏まないためには大統領候補が乗り出す必要がある。何より国家安全システムからリセットすると約束しなければならないだろう。それがセウォル号の犠牲者が残した「安全大韓民国」の教訓を無駄にしないことだ。



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