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【取材日記】韓国、鉄道の競争力強化のために天下り社長?

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
まもなく開通100日を迎える水西(スソ)高速列車(SRT)は競争による鉄道サービスと鉄道産業の競争力向上という名分から始まった。全国を舞台にした一般列車をKORAILでなく、他の会社(SR)が運営するのは初めてだった。そのため、SRの設立過程で「政府が鉄道の民営化を強行しようとするのではないか」という鉄道労組などの強い反発を呼んだこともある。だが、政府は「鉄道運営の効率化と競争力の向上のために不可欠だ」として譲らなかった。

だが、14日に就任したSRの2代社長のプロフィールを見た瞬間、政府の意志を疑わざるを得なかった。わずか15日前、国土交通部交通物流室長(1級)から退任したイ・スンホ氏が社長に就任したわけだ。国土部では彼が交通分野政策を長い期間担当し、鉄道に対する理解が高いと説明しているが、誰が何と言っても明らかな天下り人事であることを否定することは難しい。

これに先立ち、国土部ではイ社長がSR社長に内定されてから辞表を出したという話が出回っていたという。そのせいだろうか、新任社長の選任のために前日に開かれたSRの株主総会と理事会もこれといった異議なしに速やかに進んだ。SRは、国土部傘下の公企業KORAILが最大株主である会社だが、昨年末に営業を始めた新生会社ということで高位官僚の公共機関に対する就職制限規定も適用されていない。問題になることがなかったわけだ。そのうえに、新任社長のための公募手続きも今度は省略された。結局、国土部とKORAILが意気投合して高位官僚出身のための「格好よい」肩書を一つ用意しておいただけという指摘が出ている。それも不透明な弾劾政局の中で監視の目が緩くなった間に付け込んで行われたことだ。


実際、SRの発足は韓国の鉄道歴史にとても重要な意味を持つ。これまで長距離鉄道市場の独占事業者だったKORAILと初めて競争体制を作っているためだ。実際に、SR発足を契機にKORAILでもその間中断ししていた様々な乗客サービスの再開を検討するなど、非常に緊張している雰囲気だ。過去大韓航空が独占だった航空市場にアシアナ航空が参入し、全般的な旅客サービスが向上した事実を思い出させる。

SRがこのような肯定的効果をもたらすためには何より効率的でかつ創意的な経営陣の構成が必要だ。官僚的心構えや公企業の形態に縛られず、ひたすら乗客に集中してSRTを何の問題もなく走らせるような経営陣が必要だということだ。また、そうしてこそ政府が主張してきた鉄道産業の競争力強化も説得力を増すだろう。このような点からみれば、今回のSR社長の選任は非常に残念だ。国土部やKORAIL、そしてSRの株主はSRがどうして発足したのか、その意味をもう一度省みる必要があるだろう。

ハム・ジョンソン/社会1部記者



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