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【社説】朴槿恵前大統領の不服…国を分裂させるのか

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
憲法裁判所の判決に対する承服も、国政壟断疑惑に対する最小限の謝罪もなかった。憲法裁の罷免決定にもかかわらず青瓦台(チョンワデ、大統領府)で3日間過ごし、12日夜に私邸に戻った朴槿恵(パク・クネ)前大統領の国民向けメッセージは、憲法裁の決定に事実上不服を示唆し、自由韓国党と取り込んで検察・野党と対決政治をするという決意で満たされていた。

朴前大統領の私邸復帰は復帰3時間前にこの事実をメディアに流すことから始まった。これを聞いてソウル三成洞(サムソンドン)の私邸の前に集まった支持者が「朴槿恵」「弾劾不服」を連呼する中、到着した朴前大統領は終始笑みを浮かべた表情で親朴議員らとあいさつを交わした。これと同時に青瓦台(チョンワデ、大統領府)報道官を務めた韓国党の閔庚旭(ミン・ギョンウク)議員が任期を満たすことができず退いたことに対して申し訳ないという点と声援を送る国民に対する感謝の意を表した後、「すべての結果を抱えていく。真実は必ず明らかになると信じる」という朴前大統領のメッセージを発表した。憲法裁の弾劾決定に露骨に異議を提起して支持層を結集させ、検察に「威力誇示」をすることで、自分に対する捜査の鋭鋒を挫こうという内心が表れている。

朴前大統領は青瓦台を離れて久しい閔議員を報道官として前に出して立場を表明し、親朴系の韓国党議員を自宅の前に並ばせた。これは韓国党を取り込んで自分を弾劾させた非朴派・野党圏と対決政治をするという意志と読み取られるといっても過言でない。しかし憲法裁の宣告直後に実施された世論調査で92%が憲法裁の決定に承服するべきだと答えた。朴前大統領は10%ほどの支持層を人質にしてこうした世論に正面から対抗し、国を分裂させるという宣戦布告と変わらない行動をしたのだ。


大統領は国法守護の無限責任を負う国家の理性の最高峰だ。本人が悔しく思う側面があっても憲法裁の決定が下される瞬間、直ちに承服を宣言するのは基本中の基本の義務だ。さらに支持層に自制を訴え、今回の事態で傷ついた国民を慰労して治癒と和合に率先するのが、前国家元首としての最小限の道理ではないのか。

朴前大統領は自分の過去の発言も忘れるべきでない。2004年に憲法裁が世宗(セジョン)市首都移転に対して違憲決定を下した時、「憲法裁の決定を尊重しないのは憲法を尊重しないことであり、これは憲法に対する挑戦であって体制に対する否定だ」と強調したのではないか。

2000年の米大統領選挙でアール・ゴア民主党候補はジョージ・W・ブッシュ共和党候補より全国得票で上回ったうえ、フロリダ州開票問題のため勝利を主張する余地があった。にもかかわらずブッシュ候補に軍配を上げた裁判所の判断を尊重し、「同意しないが受け入れる」と述べて退いた。この退任の言葉は分裂していた米国を一つにする決定的な一言だった。

朴前大統領が本当に民心と歴史の再評価を受けたいのなら、理由を問わず憲法裁の最終判断を受け入れ、検察の捜査に堂々と応じなければいけない。朴前大統領は2004年、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の弾劾案が国会を通過すると、「もう憲法裁の判決を落ち着いて待ち、その判決に賛成する人も反対する人も謙虚に承服するべきだと考える」と呼びかけた。極めて常識的なこの発言が自分にも例外なく適用されるというのは朴前大統領もよく知っているはずだ。もう朴前大統領には13年前の自分の言葉を行動に移すことだけが残っている。



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