金正男（キム・ジョンナム）氏の暗殺に使われた毒物が国際社会が禁止している化学兵器の一種の神経作用剤「ＶＸ」であることが確認された。暗殺が北朝鮮の犯行という結論が出る場合、北朝鮮が化学兵器を海外で使用した初めての事例となり、国際社会の新たな対北朝鮮制裁が避けられない見込みだ。

マレーシアのカリド・アブバカル警察庁長官は２４日の記者会見で「キム・チョル氏（金正男氏のパスポートに書かれた名前）の目の粘膜と顔からＶＸが少量検出された」と明らかにした。ＶＸは国連安保理決議６８７号で大量破壊兵器に分類されていて、化学兵器禁止条約（ＣＷＣ）で製造・流通が禁止されている猛毒性物質。現在まで知られている最も有毒な神経刺激剤制あり、数分間で人の命を奪う。

カリド長官は「ＶＸがどのような経路で（マレーシアに）入ったかを捜査中」とし「非常に少量なので（出入国過程で）発見できなかったようだ」と述べた。金正男氏の顔に毒物を塗った容疑者の女２人のうち１人も嘔吐が続いていることが明らかになり、ＶＸの影響という指摘が出ている。


カリド長官はＶＸが北朝鮮と関連があるのかという質問に対し、「そこまでは踏み出さない」と返答を避けた。

北朝鮮は化学兵器を１９８０年代に本格的に生産した。韓国軍は北朝鮮がＶＸをはじめとする化学兵器２５００－５０００トンを分散貯蔵していると推定している。

マレーシアのザヒド・ハミディ副首相は「マレーシアは犯罪が隠れているところではない」とし「北朝鮮との外交関係を見直す」と述べた。

韓国外交部の当局者は「化学兵器が人命殺傷に使われたことについて驚きを禁じ得ない」とし「国際社会とともに強く共同対応していく」と明らかにした。

一方、マレーシア警察はこの日、金正男氏暗殺に関与した容疑で化学専門家の３０代の自国の男を逮捕した。