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【社説】平凡な顔をした恐怖の北朝鮮テロ

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
金正男(キム・ジョンナム)氏を暗殺した東南アジア国籍の容疑者の女2人が捕まったが、事件にはまだ謎が多い。殺害の道具が毒液スプレーか、それとも毒を含んだ布か、毒の種類は何かなどは推測ばかり飛び交う。暗殺にわずか5秒しかかからないなどプロのような手段からは事前に緻密に準備したことを感じさせるが、犯行後に逮捕されるまでの容疑者の行動はあまりにも粗雑であり、本当に特殊工作員なのかと疑いを抱かせる。結局、今回の暗殺の背後とみられる北朝鮮偵察総局所属の40代の男を逮捕してこそ事件の全貌が明らかになる見込みだ。そうでなければ国際未解決事件として迷宮入りする可能性もある。

白昼に起きた金正男氏暗殺は事件自体が衝撃的だが、我々をもう一度驚かせたのは北朝鮮の進化したテロ技法だ。まず国際請負暗殺団を雇用した可能性がある点がそうだ。また、尾を切るために暗殺を事故に見せかけようとした。ベトナム国籍の容疑者は「いたずらだと思った」とし、インドネシア共犯は「いたずらビデオに出演すれば100ドルを渡す」と言われてしたと主張している。こうした証言をそのまま信じることはできないが、犯行後に逃走のための徹底的な動きがなかった点などからは、単純動員された可能性も排除できない状況だ。少額のお金で買収された人たちが人を本当に殺すのか、また誰を殺すのかも知らず、ただリアリティーショーに参加する程度と考えながら重大な犯行した可能性が提起される背景だ。

これは北朝鮮のテロ技法が21世紀の状況に合わせてどれほど用意周到に進化したかを見せる一断面といえる。我々をぞっとさせるのは、我々自身も知らないうちにテロに動員される可能性があるという点だ。麻薬が入ったカバンを見知らぬ人から頼まれ、善意で手伝って不覚を取るケースと同じだ。このように平凡な顔をした恐怖の北朝鮮テロがいたずらや事故を装って我々の社会のあちこちに入り込む可能性があるという点を認識しなければならず、万一の事態に備えて警戒心を一時も緩めることがあってはならない。

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