次に家計負債の負担が着実に増加することで消費が冷え込んでいる。金融危機以来、家計負債が縮小された主要先進国とは異なり、韓国では家計負債が増加傾向を見せ続けている。所得増加率が家計負債の増加率に及ばす、元利金償還の負担が高まったが、これは特に低所得層を中心に消費を鈍化させた要因と分析できる。
投資は、経済の成熟化、対内外における不確実性の増加、投資コストの上昇などで鈍化したとみられる。韓国の物的資本は、高度成長の過程で早く蓄積され、所得水準が同水準の国よりは多くなったが、経済環境の不確実性の拡大によって他の国と同様に韓国企業の設備投資が冷え込んだ。人件費などの投資費用が競合国に比べて増大するにつれ、2000年代中盤以降、韓国の外国人による直接投資が停滞している一方、海外への直接投資は大きく増えた。総要素生産性の停滞は2000年代中盤以降、潜在成長率の下落の主な要因だった。労働、資本などの供給が低下した中で、労働はサービス部門に、資本は製造業部門に集中した結果、全体の生産性が低下した。さらに、労働が高付加価値産業から低付加価値産業に変わる傾向を見せており、労働生産性が下落したことで経済二極化も深刻化する恐れがある。
このような問題は通貨・財政政策の運用だけで短期間で解決することはできない。経済体質を強化するために、体系的かつ総合的に社会・経済構造の改革が訴えられるのはそのゆえんだ。
産業の構造調整、労働および財貨・サービス市場の改革、技術革新などを通して生産性を高めていくことが何より重要だ。積極的な構造調整を通じて企業の参入・退出の柔軟化を図る必要がある。特に、起業失敗によるコストを下げて革新的中小新生企業の参入障壁を引き下げる政策は、産業全般の生産性を高めるだろう。同一労働・同一賃金原則の定着、最低賃金制度の遵守率向上などで労働市場関連法の実効性を高め、労使政間協議を通じて労働市場を柔軟化する法システムを作らなければならない。円滑な新技術の導入のために法律制度を先制的に整備し、具体的な規制緩和のロードマップを作成する一方で、公正な技術取り引きの文化を構築し、知識集約的サービス業の支援も強化しなければならないだろう。さらに、技術革新のために企業の投資環境を改善する一方で、長い目で研究開発への支援を強化しなければならない。特に、人工知能、ビックデータ、モノのインターネットなど第4次産業革命分野で新しい成長エンジンを見出すことに一層取り組む必要があるだろう。
次に、長期的な観点から消費の源泉となる家計部門の所得をまんべんなく増大させるための制度的インフラを整えることが求められる。勤労者の賃金・雇用条件の不均衡解消、所得再分配政策、社会的セーフティーネットの拡充などで家計部門の安定した所得・消費環境を作らなければならない。低所得層や失業者に対する再教育政策など教育の機会を拡大するのも重要だ。家計所得の増大は経済不確実性による衝撃に備えて対応力を強化することにも役立つだろう。
最後に、高齢化など人口構造の変化に対する包括的な対策をより積極的に策定および施行しなければならない。短期的には労働市場の弱者である若者、女性などの経済活動の参加を活発化する必要がある。長期的には出生率を増やすためにインセンティブを強化することによって韓国経済の人的資本が減少することを防止することが求められる。何より、育児・福祉政策、教育部門の政策、企業の女性雇用関連政策などに対する総合的なアプローチや人口問題に対する社会全般の認識を切り替えていくことが急務だろう。
【コラム】韓国経済の成長潜在力はなぜ低下しているのか(1)
投資は、経済の成熟化、対内外における不確実性の増加、投資コストの上昇などで鈍化したとみられる。韓国の物的資本は、高度成長の過程で早く蓄積され、所得水準が同水準の国よりは多くなったが、経済環境の不確実性の拡大によって他の国と同様に韓国企業の設備投資が冷え込んだ。人件費などの投資費用が競合国に比べて増大するにつれ、2000年代中盤以降、韓国の外国人による直接投資が停滞している一方、海外への直接投資は大きく増えた。総要素生産性の停滞は2000年代中盤以降、潜在成長率の下落の主な要因だった。労働、資本などの供給が低下した中で、労働はサービス部門に、資本は製造業部門に集中した結果、全体の生産性が低下した。さらに、労働が高付加価値産業から低付加価値産業に変わる傾向を見せており、労働生産性が下落したことで経済二極化も深刻化する恐れがある。
このような問題は通貨・財政政策の運用だけで短期間で解決することはできない。経済体質を強化するために、体系的かつ総合的に社会・経済構造の改革が訴えられるのはそのゆえんだ。
産業の構造調整、労働および財貨・サービス市場の改革、技術革新などを通して生産性を高めていくことが何より重要だ。積極的な構造調整を通じて企業の参入・退出の柔軟化を図る必要がある。特に、起業失敗によるコストを下げて革新的中小新生企業の参入障壁を引き下げる政策は、産業全般の生産性を高めるだろう。同一労働・同一賃金原則の定着、最低賃金制度の遵守率向上などで労働市場関連法の実効性を高め、労使政間協議を通じて労働市場を柔軟化する法システムを作らなければならない。円滑な新技術の導入のために法律制度を先制的に整備し、具体的な規制緩和のロードマップを作成する一方で、公正な技術取り引きの文化を構築し、知識集約的サービス業の支援も強化しなければならないだろう。さらに、技術革新のために企業の投資環境を改善する一方で、長い目で研究開発への支援を強化しなければならない。特に、人工知能、ビックデータ、モノのインターネットなど第4次産業革命分野で新しい成長エンジンを見出すことに一層取り組む必要があるだろう。
次に、長期的な観点から消費の源泉となる家計部門の所得をまんべんなく増大させるための制度的インフラを整えることが求められる。勤労者の賃金・雇用条件の不均衡解消、所得再分配政策、社会的セーフティーネットの拡充などで家計部門の安定した所得・消費環境を作らなければならない。低所得層や失業者に対する再教育政策など教育の機会を拡大するのも重要だ。家計所得の増大は経済不確実性による衝撃に備えて対応力を強化することにも役立つだろう。
最後に、高齢化など人口構造の変化に対する包括的な対策をより積極的に策定および施行しなければならない。短期的には労働市場の弱者である若者、女性などの経済活動の参加を活発化する必要がある。長期的には出生率を増やすためにインセンティブを強化することによって韓国経済の人的資本が減少することを防止することが求められる。何より、育児・福祉政策、教育部門の政策、企業の女性雇用関連政策などに対する総合的なアプローチや人口問題に対する社会全般の認識を切り替えていくことが急務だろう。
【コラム】韓国経済の成長潜在力はなぜ低下しているのか(1)
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