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【社説】潘基文氏の不出馬、韓国政治交代の契機に

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
潘基文(パン・ギムン)前国連事務総長が昨日、大統領選への不出馬を宣言した。先月12日に帰国してわずか20日ぶりの断念だ。支持率の暴落に大統領選前の改憲を訴える、いわゆる「ビッグテント」に弾力がつかず、泥沼から抜け出せなかった。「第3地帯論」で浮上し、大統領選レースから辞退した高建(コ・ゴン)元首相の前例を乗り越えることができなかったわけだ。彼を中心とした連帯・連合で文在寅(ムン・ジェイン)前「共に民主党」代表に対抗しようとした与党圏の大統領選戦略には大きな支障が生じた。

潘氏は与党圏の最も有力な大統領選候補だった。それにもかかわらず、彼の落馬はある程度予想されていた結果といえる。経済や安保の複合的な危機にリーダーシップの不在まで重なった大韓民国は今、薄氷の上に立っている。潘氏が最も高い支持率を長い間維持したのは、彼のグローバル政治経験に対する期待感からだった。厳しい状況で大韓民国の活路を見出すのに彼の経験が役立つだろうという信頼が「潘基文待望論」を作った。だが、帰国後、政治家潘基文が見せた力量とビジョンは、そのような期待に応えられるものではなかった。

彼は大統合と政治交代を前面に出した。だが、地に足のついた対策は提示することができなかった。政治を交代するには多様な人材を活用する必要があるが、周辺の要人はそれにそぐわなかった。既存の政治家を模索して連合やら連帯やらというような古い方式の政治をしながら新しい政治を主張したので、共感を得ることができなかった。地域主義や陣営に頼る姿も見えた。地域・陣営・覇権を乗り越える価値を掲げ、新しい人々がかつての政界を完全に変えてほしいというのが潘氏にかけた期待だったが、潘氏は新しい道を歩くことも、切り開くこともしなかった。


だが、韓国の現状が総体的難局で、危機をもたらした真犯人は政治だという彼の分析に問題があると考える人はいない。現実はかえって潘氏が話したより、はるかに切実だ。理念・世代・階層・地域に分かれ裂けた大韓民国は、植物大統領に戦争のような政争で漂流している。このような政治に疲れ果て、半分を超える国民が保守であろうが進歩であろうが、どちらにも心を決められずにいる。覇権と既得権を清算してこそ、国に生き残る道が開かれると信じている。

アイロニーだが、政治交代を主張した潘氏の落馬は政治交代に向けた契機にしなければならない。大韓民国をどのように暮らしやすい国にするかに関するビジョンや価値を争う選挙に変えなければならない。有利な側に足をかける日和見主義の姿は終えなければならない。国家の存亡がかかった安保問題や亡国的地域感情を利用して票を求めようとする考えも捨てるべきだ。特に潘氏の不出馬によって与党圏では、二桁支持率を得た大統領候補がただ一人もいない局面になった。有権者が病んでいる保守にそれだけ大きく失望したためだ。今からでも与党圏はひたすら病んでいる保守を治し、統合する元気な保守のビジョンで勝負すべきだ。国の弊害を打破して新しい国へとリセットさせるビジョンやリーダーシップを見せてこそ民心が動くだろう。



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