大韓航空パイロット労働組合が22日から31日まで10日間の部分ストに入る。賃金引き上げをめぐり使用者側と労組の間の隔たりが大きいからだ。使用者側は1.9%の賃上げ案を提示しているが、パイロット労組側は29%の引き上げを要求している。大韓航空の労使は昨年10月から1年2カ月間、合意点を見いだせずにいる。昨年の賃金交渉が終わらず、今年の賃金交渉も始められない状況だ。業界ではこの対立の本質に中国があると口をそろえる。「中国発大混乱」という言葉も出ている。
◆中国ブラックホールに揺れるパイロット
大韓航空のパイロットの平均年俸は1億4000万ウォン(約1400万円)。労組が提示した賃上げ率(29%)を適用すれば引き上げ幅は3920万ウォンとなる。一般的なサラリーマンの年俸程度を一度に上げてほしいという要求だ。労組側が要求する引き上げ率は過去最高水準であり、2014年まで2けた引き上げ案はなかった。
パイロット労組が昨年このように大幅な賃上げを要求したのは中国の影響が大きいという分析だ。中国航空会社が高い年俸を前に出して韓国国内のパイロットを引き抜き始め、国内パイロットの希望レベルが変わった。中国航空会社が提示するパイロットの年俸(機長基準)は21万ドル(約2500万円)-30万ドルにのぼる。大韓航空のパイロットの平均年俸のほぼ倍だ。韓国だけでなくロシアやブラジルの航空会社のパイロットと比較しても4倍ほど高い。高額年俸で有名な米デルタ航空の機長の平均年俸20万9000ドルより多い。このため業界は中国航空会社を「ブラックホール」と呼ぶ。
◆悩み深まる航空業界
中国航空会社が高額年俸を提示してパイロットを迎え入れるのには理由がある。中国は2000年代に入って経済が急成長し、航空市場も同時に拡大した。中国内の航空会社は今年7-9月期を基準に計55社。5年前に比べて28%増えた。中国政府は年間2000-3000人のパイロットを育成しているが、飛行時間4000時間、離着陸経験350回など機長の資格を持つパイロットは短期間に育てることができない。航空業界の関係者は「中国は拡大する航空産業に比べて熟練したパイロットがかなり不足していて、機長の獲得に血眼になっている」と話した。
実際こうした提案を受けて中国航空会社に離れて行ったパイロットも多い。大韓航空から中国航空会社に移ったパイロットは昨年46人にのぼる。今年上半期には19人が中国航空会社に移った。アシアナ航空も事情は似ている。アシアナ航空から外国航空会社に行ったパイロットは昨年15人、今年上半期は4人だった。その大半は中国航空会社に移ったという。
航空業界は中国のために韓国航空業界が混乱することを懸念している。パイロット流出が深刻になれば国家的な損失も避けられない。大韓航空とアシアナ航空で勤務するパイロットのおよそ半分は軍出身だ。空軍パイロット1人を養成するのに12-13年かかる。民間パイロットも少なくとも8年以上は教育を受けなければいけない。
とはいえ人材流出を防ぐために大幅に賃金を引き上げることはできないというのが航空会社の話だ。パイロットの賃金を大幅に上げれば、それだけ会社の収益性が落ちるしかないからだ。一部では高額年俸の影の部分にも目を向けるべきだという声もある。中国航空会社はほとんど3年契約職を提示する。雇用保障が難しいうえ、業務環境、福祉恩恵が異なり、途中で戻ってくるパイロットも少なくないという。
◆中国ブラックホールに揺れるパイロット
大韓航空のパイロットの平均年俸は1億4000万ウォン(約1400万円)。労組が提示した賃上げ率(29%)を適用すれば引き上げ幅は3920万ウォンとなる。一般的なサラリーマンの年俸程度を一度に上げてほしいという要求だ。労組側が要求する引き上げ率は過去最高水準であり、2014年まで2けた引き上げ案はなかった。
パイロット労組が昨年このように大幅な賃上げを要求したのは中国の影響が大きいという分析だ。中国航空会社が高い年俸を前に出して韓国国内のパイロットを引き抜き始め、国内パイロットの希望レベルが変わった。中国航空会社が提示するパイロットの年俸(機長基準)は21万ドル(約2500万円)-30万ドルにのぼる。大韓航空のパイロットの平均年俸のほぼ倍だ。韓国だけでなくロシアやブラジルの航空会社のパイロットと比較しても4倍ほど高い。高額年俸で有名な米デルタ航空の機長の平均年俸20万9000ドルより多い。このため業界は中国航空会社を「ブラックホール」と呼ぶ。
◆悩み深まる航空業界
中国航空会社が高額年俸を提示してパイロットを迎え入れるのには理由がある。中国は2000年代に入って経済が急成長し、航空市場も同時に拡大した。中国内の航空会社は今年7-9月期を基準に計55社。5年前に比べて28%増えた。中国政府は年間2000-3000人のパイロットを育成しているが、飛行時間4000時間、離着陸経験350回など機長の資格を持つパイロットは短期間に育てることができない。航空業界の関係者は「中国は拡大する航空産業に比べて熟練したパイロットがかなり不足していて、機長の獲得に血眼になっている」と話した。
実際こうした提案を受けて中国航空会社に離れて行ったパイロットも多い。大韓航空から中国航空会社に移ったパイロットは昨年46人にのぼる。今年上半期には19人が中国航空会社に移った。アシアナ航空も事情は似ている。アシアナ航空から外国航空会社に行ったパイロットは昨年15人、今年上半期は4人だった。その大半は中国航空会社に移ったという。
航空業界は中国のために韓国航空業界が混乱することを懸念している。パイロット流出が深刻になれば国家的な損失も避けられない。大韓航空とアシアナ航空で勤務するパイロットのおよそ半分は軍出身だ。空軍パイロット1人を養成するのに12-13年かかる。民間パイロットも少なくとも8年以上は教育を受けなければいけない。
とはいえ人材流出を防ぐために大幅に賃金を引き上げることはできないというのが航空会社の話だ。パイロットの賃金を大幅に上げれば、それだけ会社の収益性が落ちるしかないからだ。一部では高額年俸の影の部分にも目を向けるべきだという声もある。中国航空会社はほとんど3年契約職を提示する。雇用保障が難しいうえ、業務環境、福祉恩恵が異なり、途中で戻ってくるパイロットも少なくないという。
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