トランプ当選の知らせに触れ、１９年前の今日を思い出したと言えば大げさだろうか。来る日も来る日も不安に震えて国家破綻を待ったあの時の話だ。なぜこのようなあり様になったのかと悔しさを爆発させた当時の姿も。トランプ・ショックはこのように私たちに迫ってきた。

なぜショックなのか。概して３つある。短期的には金融市場に及ぼす衝撃だ。為替レート急騰と株価急落だ。２つ目は世界交易の萎縮と輸出不振などの実物経済ショックだ。最後は長期的衝撃だ。反世界化・保護貿易主義の深化など既存の世界経済秩序の再編だ。

金融市場衝撃で最も懸念されるのは為替操作国と指定される可能性だ。トランプは中国を為替操作国に指定すると公言した。「中国を為替操作国に指定して交渉のテーブルに引き出す」と言った。「日本も為替レートを操作している」と非難した。


中国や日本は韓国のように為替レート観察対象国だ。その他、ドイツ・台湾・スイスなどだ。両国とも対米貿易黒字が２００億ドルを越えており、経常収支黒字が自国の国内総生産（ＧＤＰ）の３％を上回る。

万一、中国が為替操作国と指定されればそれ自体だけでも韓国ウォンは衝撃を受ける。中国の反発と貿易戦争の懸念のためだ。さらなる心配は韓国が為替操作国だと指定される可能性だ。一部の専門家は既にこの可能性を高く見ていた。現実化されれば韓国ウォンは急落する。ここに米国の金利引き上げが追加されたら？真に万に一つの仮定だが１９年前の危機につながる状況が生じる可能性もある。

実物経済と関連して最も懸念されるのは韓米自由貿易協定（ＦＴＡ）の再協議だ。トランプは「米国経済を阻害した『壊れた約束』」と批判した。環太平洋経済連携協定（ＴＰＰ）と北米自由貿易協定（ＮＡＦＴＡ）をさらに非難したが。いずれにせよ韓米ＦＴＡも全面再検討して、必要な場合は再交渉すると言った。このようになれば輸出が大きな打撃を受ける。韓国経済研究院によると全面再協議の場合、５年間の輸出損失は２６９億ドルだ。２０１３年をピークに３年連続減少している韓国の輸出がより一層打撃を受けるという話だ。

輸出不振は他の経路を通じても起こる。トランプは暇さえあれば中国を非難した。「貿易で中国にレイプされ、我々は中国の豚の貯金箱に転落した」と言う。米国人１０００万人以上が雇用を失ったためだと言った。このように主なターゲットは中国だが、それで中国が米国市場で押し出されたら？次のターゲットは韓国なのでないか。保護貿易による世界交易の萎縮と世界経済の成長鈍化も韓国の輸出に打撃だ。国際通貨基金（ＩＭＦ）は保護貿易で世界経済成長率がさらに２％下落すると見通した。



【コラム】トランプ時代の生存法（２）