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【コラム】説得がない社会=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
ソウル銅雀区汝矣大方路(トンジャクク・テバンロ)16キル。ボラメ公園正門横に曲がりくねりながら伸びたこの道の周辺は学校とアパートだけなので平常時は静まり返っているという表現がしっくりくるほどの静かさだ。ところが最近はこの道が騒々しく落ち着かない。大声が行き交い、拡声器を動員したデモまで登場した。「Xバンドレーダー」のせいだ。

この道沿いに位置した気象庁がこっそりとXバンドレーダーを庁内に設置しようとしているというニュースが広まり住民が反発している。米国企業が製作したXバンドレーダーは高度1キロ以下に対する気象情報を精密に分析するための装置で、低い高度で突発的に発生する気象異変観測に効果的だ。最近相次ぐ誤報で世論の袋叩きに遭った気象庁が導入を急いでいるのはこのためだ。だが、地域住民はこのレーダーが高高度ミサイル防衛(THAAD)体系と同じ周波数帯域(8~12GHz)が使われているとし、電磁波に対する安全性が検証されるべきだと主張している。

地域住民は政府の一方的な行政に対して一層憤慨を強めている。「NIMBYではありません。法的義務がないという理由で学校・アパート密集地域にレーダーを設置するという重大な事案を事前に何の話もなく突然発表して誰が黙っていると思いますか」。(50代主婦)


韓国社会から説得が消えた。議論になっている事案を見ると、ほとんどが片方の一方的な発表ともう片方の強力な反発で一寸前も進むことができない。THAADを星州(ソンジュ)ゴルフ場に配置することにしたのも然り、ソウル大の始興(シフン)キャンパス、梨花(イファ)女子大の未来ライフ大学(生涯学習単科大)設立推進なども然りだ。ソウル大総学生会は「学校側が始興キャンパス実施協約を行う前に学生と協議するしながら約束を破棄した」として今月10日に大学本部を占拠した。学校の一方的な生涯学習単科大の新設に対する反発で始まり、大規模な警察力投入事態にまで発展した梨花女子大学生本館の座り込み占拠はもう80日余り続いている。

地域住民や学生の反発で事業推進が遅れることを心配するあまりに一旦事業を発表するものの、むしろ強い反対にあって事業は一層遅れて漂流する。説得と疎通のないごり押し式のやり方は漠然とした不安とさらなる大きな反発を呼び起こすためだ。

交渉には説得が必要だ。説得は傾聴と共感から始まる。交渉において共感は、たとえ相手の意見に同意しなくても相手がどのような立場に置かれているのか、なぜそのような行動に出るかなどを理解しようとする努力だ。これからは速度と効率だけを強調することから脱しなければならない。韓国が先進国入りできずいつも挫折するのもこのような社会の雰囲気のためだ。今のようにあちこちで葛藤が噴出していてはいつか爆発してしまうかもしれない。重大な決定は少し遅れても互いに説得しながら社会的合意を引き出さなければならない。これまで繰り返されてきた「一方的決定-発表-反発と葛藤」の悪循環の鎖をもうそろそろ断ち切らなければならない。

キム・チャンギュ・コリア中央デイリー経済産業部長



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