はらはらする試合だった。泣いて笑った９０分だった。結果は韓国の３－２逆転勝ち。カタールとの攻防戦はハッピーエンドで終わったが、韓国サッカーは依然として不安定な姿を見せた。中東チームに苦戦を強いられるジンクスはこの日も続いた。ただ、プレミアリーグで活躍する孫興民（ソン・フンミン、２４、トッテナム）、奇誠庸（キ・ソンヨン、２７、スウォンジーシティ）の健在を確認したのが収穫だった。

２－２の後半１２分。相手ＤＦの間を抜け出すＦＷ孫興民が見たＭＦ奇誠庸が絶妙のスルーパスを入れた。孫興民がノンストップで右足で巻きながらシュートすると、ボールは鋭い放物線を描いてゴール右隅に吸い込まれた。逆転ゴール、決勝ゴールだった。

韓国サッカーが中東の伏兵カタールを破り、２０１８ロシアワールドカップ（Ｗ杯）最終予選Ａ組第３戦で勝ち点３を追加した。国際サッカー連盟（ＦＩＦＡ）ランキング４７位の韓国は６日、水原（スウォン）Ｗ杯競技場でカタール（８５位）と対戦し、乱打戦の末３－２で勝利をつかんだ。韓国は先月の中国戦（３－２勝）、シリア戦（０－０引き分け）を含めて２勝１分け、勝ち点７とした。


前半は苦戦した。前半１１分に奇誠庸が右足でミドルシュートを決めたが、５分後にＤＦ洪正好（ホン・ジョンホ、２７、江蘇蘇寧）がＰＫを与え、同点に追いつかれた。

前半終了前には逆転を許した。サイドを突破した主将ハサン・アル・ハイドス（２７）のパスをカタールの主砲セバスティアン・ソリア（３３）が右足でゴールに押し込んだ。４バックの守備ラインは乱れ、ボールの処理も遅れた。

シュティーリケ監督（６２、ドイツ）は後半に入って戦術と選手に変化を与えた。石鉉俊（ソク・ヒョンジュン、２５、トラブゾンスポル）に代わって入った１９６センチの長身ＦＷ金信旭（キム・シンウク、２８、全北）が同点ゴールのきっかけを作った。後半１０分、相手ゴール前で金信旭がＤＦと競り合いながら頭でボールを落とし、相手ＤＦのクリアミスでボールが流れると、池東源（チ・ドンウォン、２６、アウクスブルク）がこれに反応し、右足でゴール左隅にシュートを決めた。

勢いづいた韓国は２分後、奇誠庸と孫興民の合作ゴールで逆転に成功した。孫興民はカタールを相手に２試合連続で逆転ゴールを決め、「カタールキラー」としての存在感を見せた。２０１３年３月にソウルＷ杯競技場で行われたカタールとのブラジルＷ杯最終予選で、孫興民は１－１の同点だった後半終了間際、劇的に決勝ゴールを決めて韓国を勝利（２－１）に導いた。３年ぶりとなったカタール戦は孫興民のＡマッチ５０試合目だった。後半４３分に孫興民が金甫ギョン（キム・ボギョン、２７、全北）と交代してベンチに向かうと、３万２０００人のファンは拍手を送った。

孫興民は「前半を終えて選手たちは焦りを感じていた。厳しい試合だったが精神的に克服して勝つことができた。イランに行っても勝利のために最善を尽くしたい」と語った。

「トランスフォーマー（変身ロボット）」奇誠庸のマルチ能力を確認したのも収穫だ。奇誠庸は前半に先制ゴールを決め、後半には孫興民の決勝ゴールをアシストした。後半、ＤＦ洪正好が警告累積で退場した後、郭泰輝（クァク・テフィ、３５、ソウル）が投入されるまで、韓国の守備はやや不安定な姿を見せた。ＧＫ金承奎（キム・スンギュ、２６、ヴィッセル神戸）は２失点したものの、後半の中盤以降は好セーブでカタールの攻撃を防いだ。マレーシア出身の主審の判定は競技の品格を落とした。前半終了間際、奇誠庸のシュートが相手ＤＦの腕に当たったがハンドを宣言しなかった。

Ａ組の他の試合はシリアが１－０で中国を破り、１勝１敗１分け（勝ち点４）とした。ホームで敗れた中国は２敗１分け（勝ち点１）。Ｂ組の日本はイラク戦で後半ロスタイムに決勝ゴールを決め、２－１で辛勝した。韓国代表は７日、第４戦（１１日）が行われるイランのテヘランに向けて出国する。