韓国銀幕界が認める「スタイリスト」ことキム・ジウン監督(52)と国民俳優ソン・ガンホ(49)が映画『密偵』(9月7日公開)で再びタッグを組んだ。これで4作目だ。変わり者家族の死体処理騒動を描いた『クワイエット・ファミリー』(1998)、小心者の銀行員がレスリングの覆面をかぶって復しゅうに乗り出す『反則王』(2000)、1930年代の満州を舞台にした韓国型西部劇『グッド・バッド・ウィアード』(2008)でソン・ガンホはキム監督が掲げた最高の「武器」だった。肝も冷えるような緊張感や深い悲哀、しらじらしい笑いを自由自在に操るキム監督映画特有のアイロニー的雰囲気を引き出してきた。
1920年代日帝強占期を舞台にした時代劇『密偵』でソン・ガンホは日本警察の密偵、朝鮮人のイ・ジョンチュル役を引き受けた。イ・ジョンチュルは義烈団のキム・ウジン(コン・ユ扮)に近づき、義烈団は京城に爆弾を持ち込む計画を立てる。
26日に会ったキム監督は「『グッド・バッド・ウィアード』や『暗殺』(2015、チェ・ドンフン監督)が日帝強占期の葛藤をアクション活劇として描き直したものとは違い、『密偵』はその時代の暗鬱な空気の下で分裂するしかなかった個人やその矛盾をスパイ映画特有の緻密な心理戦で描きたかった」と話した。「撮影の間、俳優たちが誰が相手側の密偵で誰が自分側なのか絶えず疑心暗鬼になるような気持ちで演じてほしいと思った。その分、些細な目くばせ一つ一つの繊細な演技が重要だった」。キム監督の説明だ。
その中でも最高の緊張感を作り出すのはやはりソン・ガンホの役割だ。『密偵』のソン・ガンホは、『グッド・バッド・ウィアード』での落ち着きのない列車強盗犯ユン・テグとは全く違い、最後までその本音を知ることができないイ・ジョンチュルの心理を控えめな演技で絶妙に表現する。結末に近づくほどに「一体イ・ジョンチュルは日本警察と義烈団のうちどちら側につくのだろうか」というスリルが爆弾の導火線につけられた火のように燃え上がっていく。ソン・ガンホ特有の諧謔的なコメディ演技は一切取り除き、精密なバランス感覚で劇の緻密な雰囲気をしっかりと支えている。キム監督はソン・ガンホを「韓国でイ・ジョンチュル役をこなせる演技のスペクトラムを持つ数少ない俳優」と話した。
ソン・ガンホはイ・ジョンチュルを「時代が作り出した人物」と定義した。「この映画の魅力は独立軍対日本、善と悪の二分法から脱し、その時代が生んだ多様な価値観と混乱を見るところにある」というのが彼の考えだ。ソン・ガンホはキム監督との作業を「対話を通じて分かり合っていくというよりは『こういう感じ』というものをやりとりして双方が表現したいことを探し当てていくようなやり方」と説明した。「芸術というのは言葉では説明できない部分のほうが多い。1足す1が2ではなく、3にもなるのが芸術ではないだろうか。それを直接見せるのが芸術だ」。ソン・ガンホの言葉だ。ソン・ガンホにとってキム監督の映画は「毎回異なるジャンル、キャラクター、個性を披露することができる舞台」だ。
キム監督は自身の映画を貫くキーワードとして「アイロニー」を挙げた。「私が世の中に対して最も大きな関心を寄せているのがこの『アイロニー』だ。『密偵』のイ・ジョンチュルの立場がまさにそうだ。日本警察の密偵としてキム・ウジンに近づいたが計画は歪み、どちら側につくべきか決定を下すのが容易ではない」。だが、劇中イ・ジョンチュルが後半まで心の行く手を決めかねているように描いた点について、映画コラムニストのイ・スクミョン氏は「観客は混乱を感じるかもしれない。イ・ジョンチュルが結末で劇的な行動を取るまで非常に遠い回り道をしているようだ」とも評した。
キム監督の8本目の長編である『密偵』は8月31日に開かれる第73回ヴェネツィア国際映画祭非コンペティション部門に進出した。『密偵』はハリウッド大手配給社のワーナーブラザースが初めて製作と配給に参加した韓国映画で、朝鮮時代の地理学者・金正浩(キム・ジョンホ、チャ・スンウォン扮)の人生を描いた『古山子、大東輿地図』(9月7日公開、カン・ウソク監督)と秋夕(チュソク、中秋)の劇場街で正面対立する。
1920年代日帝強占期を舞台にした時代劇『密偵』でソン・ガンホは日本警察の密偵、朝鮮人のイ・ジョンチュル役を引き受けた。イ・ジョンチュルは義烈団のキム・ウジン(コン・ユ扮)に近づき、義烈団は京城に爆弾を持ち込む計画を立てる。
26日に会ったキム監督は「『グッド・バッド・ウィアード』や『暗殺』(2015、チェ・ドンフン監督)が日帝強占期の葛藤をアクション活劇として描き直したものとは違い、『密偵』はその時代の暗鬱な空気の下で分裂するしかなかった個人やその矛盾をスパイ映画特有の緻密な心理戦で描きたかった」と話した。「撮影の間、俳優たちが誰が相手側の密偵で誰が自分側なのか絶えず疑心暗鬼になるような気持ちで演じてほしいと思った。その分、些細な目くばせ一つ一つの繊細な演技が重要だった」。キム監督の説明だ。
その中でも最高の緊張感を作り出すのはやはりソン・ガンホの役割だ。『密偵』のソン・ガンホは、『グッド・バッド・ウィアード』での落ち着きのない列車強盗犯ユン・テグとは全く違い、最後までその本音を知ることができないイ・ジョンチュルの心理を控えめな演技で絶妙に表現する。結末に近づくほどに「一体イ・ジョンチュルは日本警察と義烈団のうちどちら側につくのだろうか」というスリルが爆弾の導火線につけられた火のように燃え上がっていく。ソン・ガンホ特有の諧謔的なコメディ演技は一切取り除き、精密なバランス感覚で劇の緻密な雰囲気をしっかりと支えている。キム監督はソン・ガンホを「韓国でイ・ジョンチュル役をこなせる演技のスペクトラムを持つ数少ない俳優」と話した。
ソン・ガンホはイ・ジョンチュルを「時代が作り出した人物」と定義した。「この映画の魅力は独立軍対日本、善と悪の二分法から脱し、その時代が生んだ多様な価値観と混乱を見るところにある」というのが彼の考えだ。ソン・ガンホはキム監督との作業を「対話を通じて分かり合っていくというよりは『こういう感じ』というものをやりとりして双方が表現したいことを探し当てていくようなやり方」と説明した。「芸術というのは言葉では説明できない部分のほうが多い。1足す1が2ではなく、3にもなるのが芸術ではないだろうか。それを直接見せるのが芸術だ」。ソン・ガンホの言葉だ。ソン・ガンホにとってキム監督の映画は「毎回異なるジャンル、キャラクター、個性を披露することができる舞台」だ。
キム監督は自身の映画を貫くキーワードとして「アイロニー」を挙げた。「私が世の中に対して最も大きな関心を寄せているのがこの『アイロニー』だ。『密偵』のイ・ジョンチュルの立場がまさにそうだ。日本警察の密偵としてキム・ウジンに近づいたが計画は歪み、どちら側につくべきか決定を下すのが容易ではない」。だが、劇中イ・ジョンチュルが後半まで心の行く手を決めかねているように描いた点について、映画コラムニストのイ・スクミョン氏は「観客は混乱を感じるかもしれない。イ・ジョンチュルが結末で劇的な行動を取るまで非常に遠い回り道をしているようだ」とも評した。
キム監督の8本目の長編である『密偵』は8月31日に開かれる第73回ヴェネツィア国際映画祭非コンペティション部門に進出した。『密偵』はハリウッド大手配給社のワーナーブラザースが初めて製作と配給に参加した韓国映画で、朝鮮時代の地理学者・金正浩(キム・ジョンホ、チャ・スンウォン扮)の人生を描いた『古山子、大東輿地図』(9月7日公開、カン・ウソク監督)と秋夕(チュソク、中秋)の劇場街で正面対立する。
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