イラスト=パク・ヨンソク
韓国内にも多くのファンを有している漫画家あだち充の漫画『H2』『タッチ』は甲子園と野球を素材にしている。日本であだち充の漫画が大きな人気を得ている理由は単に人気スポーツを扱っているだけではない。甲子園で敗れたチームは球場の土を持ち帰る伝統がある。この土は情熱、不安、失敗、友情、片思いなどが入り混じった青春という時間と感情の象徴だ。阪神タイガースの選手は後輩たちのために自分たちの舞台を喜んで青年たちに譲る。
半面、韓国の青年たちはスポットライトの中に立つべき自身の舞台をむしろ既成世代に譲っている。「青春」という単語も共に譲った。名士の講演や成功談のような他人の話から自身の慰安を見つけようとする。青春に対する既成世代の見方と文章を共有するだけで、自分たちのの文化や話についてはできない。テレビの芸能番組を通じて風刺される現実に精一杯笑って怒るのが関の山だ。自嘲的な語彙が若者世代の文化を代弁している。大切にされるべき「青春」という言葉もそのようにして色あせている。
2000年を前後してキャンパスには大企業の名を冠した建物が続々と立てられた。このようにして青春と新自由主義の同居が始まった。同じ屋根の下の神経戦の中、「充実した」大学生活は各種資格獲得のような「スペック集め」に置き換えられた。オンラインでは学年別に対外活動、単位、TOEICなどの段階が定形化されて共有されるほどだ。あわせて書類選考で有利になる大企業の対外活動も議論されている。青春はキャンパスという舞台まで譲った。
口では希望を語るのに明らかに現実は容易ではない。それでも舞台の主人になることを自ら諦めてはいけない。照明の外、闇の中で拍手をするなんてつまらない。2005年第87回甲子園大会のキャッチフレーズは「君に見せたい夏がある」だった。自分たちの舞台を見つける必要がある。8月の灼熱の太陽の下、甲子園のマウンドで汗を流してボールを投げる投手のように。殻だけが残っている青春の中身を埋めなければならない。スポットライトの中に進んでいって主人公になろうではないか。世の中に向かって叫ぶことなくして世の中が変わるのを待つことはできない。
イ・ドホン建国大メディアコミュニケーション学科
この記事を読んで…