ここ数年間、韓国文化は「韓流」という名前で全世界に広がっている。だが、事実、イタリアをはじめ多くの欧州文化圏でＫ－ＰＯＰや韓国ドラマのような韓流コンテンツを消費・経験する人はごく限定的のようだ。例えばＫ－ＰＯＰが好きなのは主に１０代の若者や過去に東アジア文化圏のコンテンツを消費した人々である場合が少なくない。韓流コンテンツは魅力的だが老若男女すべてに共通して人気があるほど普遍的ではないためだ。

私は他の韓流コンテンツよりも韓国映画のほうがむしろそのような潜在力があると考える。イタリアでは１９９０年代から韓国映画が人気だった。どんな韓流スターよりもキム・ギドクやパク・チャヌクのような韓国監督が有名だ。私は何を見ても皆同じような高予算のハリウッド映画よりも、新鮮で特色があり水準の高い韓国映画を見るほうがいい。

だが、このようにすばらしい韓国映画がもっとたくさん制作されるための環境はやや不足しているように思われる。私の考える問題点はまず一つ目に、映画館が観客数だけを意識しているためなか人気ハリウッド映画を中心に上映し、多様な作品をなかなか見ることができないことだ。特に独立映画を上映する映画館は地域はもちろん、ソウルにもほとんどない。二つ目に、水準高くてよく作られている映画でも大衆性が弱ければなかなか成功しにくい。富川（プチョン）ファンタスティック映画祭や全州（チョンジュ）国際映画祭のようところに行けば優れたインディー映画にたくさん接することができるが、一般の人々には見る機会がほとんどない。韓国映画が世界的コンテンツになるには芸術映画の上映館を増やして観客が多様な映画に触れられるようにしなければならない。


国際的にも芸術映画が好きな欧州・南米を狙って積極的に韓国映画を広報すれば韓流がまだ強くない地域でも韓国文化を知らせる絶好の機会になるだろう。ネットフリックス（Ｎｅｔｆｌｉｘ）のようなオンラインストリーミングのプラットホームを活用すれば、少ない費用で手軽に韓国の新人監督やその作品を世界に紹介することができる。機会がくればポン・ジュノ監督の新作『オクジャ』のようにネットフリックスの支援を受けて作品を制作することもできる。

２００３年イタリア・フィレンツェでは韓国映画だけを上映する「韓国映画祭」（www.koreafilmfest.com）が初めて開かれてことしで１３年目を迎えている。ミラノでも毎週韓国映画を上映する映画館ができた。女優のムン・ソリさんが韓国女優としては初めてヴェネツィア国際映画祭審査委員に招待された。このように関心を持って声援を送る人が全世界に多いため、韓国映画の未来は明るいとみる。私もファンとして応援し続けていきたい。

アルベルト・モンディＪＴＢＣ『非首脳会談』出演者