1月に撮影された南シナ海の南沙諸島クアテロン礁。中国交通運輸省は10日、ここを含む南シナ海4礁に4つの灯台を稼働したと発表した。下の写真に高周波レーダー施設と推定されるアンテナ(点線)が見える。(写真=CSIS)
判決の内容は中国の完敗に近い。核心の「九段線」の合法性を否定されたからだ。中国は「九段線」の中の250余の島・暗礁・珊瑚礁がすべて中国の領土であり、350万平方キロメートルにのぼる海域の80%が中国の管轄だと主張した。中国がこの九段線を自国の領域境界線と主張する根拠は「歴史的権原」だ。2000年前の漢の時代から中国人が南シナ海で航海して島を発見し、名前をつけたという記録が残っているということだ。
しかしこのような散発的な歴史記録は中国だけでなく南シナ海周辺の東南アジアの国の古文献にも登場する。国際法廷の判例は古代文献の記録を領有権の証拠資料と認めないのが一般的だ。九段線の法的根拠を否認した今回の判決もこうした傾向に基づくとみられる。裁判所は南シナ海最大の海洋地形物である太平島までも海洋法上の「島」ではなく排他的経済水域を持たないと明記した。この場合、南シナ海のほとんどの海域は公海と規定されるということであり、航行の自由を主張する米国の主張がさらに力を増す。
中国がこの数年間、国際社会の非難を押し切って建設した人工島に対しても、いかなる法的地位を認めなかった。海洋法上の島と認められない暗礁の周辺を埋め、さらに人工施設を建設しても、これを根拠に領海やEEZは生じないというのは、国際法的に異論なく通用する論理だ。裁判所は中国の人工島建設行為が違法であるのはもちろん、環境破壊行為という判断まで下した。しかし今回の判決は国際司法裁判所(ICJ)の判決とは違い、国連安全保障理事会などによる強制執行規定がない。したがって中国が拒否する以上、強制性はない。
中国が南シナ海に引いた九段線、歴史的根拠認められず(2)
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