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【コラム】崖っぷちに立つ英国(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
残るのか、離れるのか。英国が欧州連合(EU)に残留するかどうかを決める国民投票が2日後に迫った。もし残留という結論が出て「ブレグジット(Brexit=英国のEU離脱)」が失敗に終われば、英国の前途有望だった女性政治家ジョー・コックス氏の死は欧州統合の祭壇に捧げた「殉教」として記憶されるだろう。「反ブレグジット」キャンペーンに力を注いだ初当選の労働党国会議員コックスさんは先週、暴漢が撃った凶弾を受け、41歳の花のように美しい命を失った。これをきっかけに世論が揺れ、残留派が離脱派を上回ったというが、ふたを開けるまでは結果を予断できないほど均衡している。

英国はいま崖っぷちに立っている。崖の下を眺めながら飛び降りるかどうか悩んでいる。死ぬか生きるかの岐路で苦悩するハムレットだ。すべての常識はブレグジットが英国の政治的・経済的自殺行為になると語っている。しかし離脱の方に立った人たちは選出されることも責任を負うこともないEU官僚の束縛から抜け出して「民主的自決権」を回復するのが英国が生きる道だとし、「統制権を取り戻せ(Take back control)」をマントラのように叫んでいる。

EUと決別して「名誉ある孤立」を選択するのがよいと考える人たちの心理には、日が沈まない大帝国を建設した「栄光の過去」に対するノスタルジアとナルシシズムが根底にある。英国はEU加盟国だが、欧州単一通貨のユーロはもちろん、国境統制を撤廃したシェンゲン協定からも抜けている。


安保・経済・租税・福祉・教育・医療など多様な政策分野で幅広い自律権も認められている。にもかかわらず特に英国で「欧州懐疑論」が強い背景には、島国である英国は欧州大陸とは違って独自でもうまくできるという「アングロサクソン例外主義」がある。

しかし世の中は変わった。一人の力では生きていけないグローバル時代になった。相互連係性と相互依存性が強化され、伝統的な主権の意味は色あせている。開放と競争はこの時代のコードだ。一人でするよりも共にするほうがよい時は主権の一部を譲渡する「共有主権」概念が大勢であり、EUはこれを根拠に創設され、発展してきた。このような時代に主権の古い象徴にこだわるのは時計の針を逆に回す時代錯誤だ。

英国が国際舞台で声を出すことができるのもEU加盟国であるからだ。EUの外にいる英国の地位は以前とは同じでない。すぐに米国の最高同盟国の地位を失うはずであり、英国の孤独な声に耳を傾ける国は減るはずだ。ブレグジットはスコットランドと北アイルランドの分離独立の動きにつながり、英国の分裂をあおるだろう。経済的にはもちろん、政治的にもブレグジットは「大英国(Great Britain)」を「小さなイングランド(little England)」に縮小させる逆効果をもたらすのが明らかだ。



【コラム】崖っぷちに立つ英国(2)

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