「変われば変わるほど、その本質は同じであり続ける（Ｔｈｅ　ｍｏｒｅ　ｔｈｉｎｇｓ　ｃｈａｎｇｅ，ｔｈｅ　ｍｏｒｅ　ｔｈｅｙ　ｓｔａｙ　ｔｈｅ　ｓａｍｅ）」という英語表現は、ワシントンの政界でも適用されうる。政策が変わるといっても、政策の根本的な変化を必ずしも意味しない。今は、予測できない事態を排除すればヒラリー・クリントンが米国大統領選挙の本戦の民主党候補になる可能性が高い。また多くの世論調査によればクリントンがクリントン－トランプ両者対決の勝者になるものと思われる。

「ヒラリー・クリントン政権」になれば、米国の対北朝鮮政策はどのような姿を帯びることになるだろうか。まず最初に人的構成から確かめてみよう。国家外交政策を担当する人物にはウェンディ・シャーマン（元国務政務次官）、カート・キャンベル（元東アジア太平洋担当国務次官補）、ジェイク・サリバン（クリントン陣営の外交政策調整官）、ローラ・ローゼンバーガー（クリントン陣営の外交政策副調整官）らが含まれる。特にキャンベルをはじめ全員がアジアについての経験が豊富な人物だ。

２番目、米国外交政策の基本的な目標は変わらないだろう。すなわち目標は継続して北朝鮮の完全かつ検証可能な非核化になるだろう。北朝鮮の軍事・経済並進路線がどのように展開しようが北朝鮮の非核化という目標は共和党政権にしても民主党政権にしても決して軽視できないものだ。


３番目、新政権の政策の特徴は北朝鮮の威嚇に対する強力な防衛と抑止になるだろう。米国は対北朝鮮関与（ｅｎｇａｇｅｍｅｎｔ）よりも同盟国らとの政策調整および国防協力を強化するだろう。特に韓米日３カ国間の国防協力の強化と情報共有、北朝鮮のミサイルによる威嚇を阻止するためのミサイル防衛協力が強調される可能性が高い。

４番目、北朝鮮を再び交渉のテーブルに導くために米国の外交は継続して対北朝鮮制裁を強調するだろう。特に米国は石炭・エネルギー・鉱物輸入に関する中国の対北朝鮮制裁を要求するだろう。

５番目、北朝鮮のサイバー攻撃に対抗するために米国は米中協力を重視するだろう。最近オバマ大統領と中国の習近平国家主席が首脳会談で合意した結果の１つは、米中両国が自国領土が第３国のサイバー活動のために使われることを防ぐというものだ。

サイバー領域は米国と中国の間でも異見が多い分野だ。だが北朝鮮のサイバー活動については北京とワシントンが不透明性の余地を残さず相互協力に合意した。



【コラム】クリントンが当選したら北朝鮮の運命は？（２）