円安政策をめぐる日米間の衝突は、他国の為替相場政策に飛び火する可能性があるという点で注目される。米国は2008年のグローバル金融危機以降、貿易国の通貨安競争を警戒してきた。主に対米貿易黒字国の韓国や中国が外国為替市場に介入して自国企業の輸出競争力強化を図っていると主張してきた。
一方、同じく対米貿易黒字国の日本に対しては量的緩和を通じた通貨安だとして円安を容認した。米国がそのような日本までも問題視したのは、ドル安を維持して自国の景気を浮揚させる戦略への旋回だと、専門家らは分析している。
◆ドル高危機論
米国が日本の市場介入意志にブレーキをかけた背景には、米国の厳しい事情を挙げることができる。対外経済政策研究院(KIEP)のカン・テス研究委員は「今年に入って米国の状況が日本の事情を容認するのが難しいほど厳しくなったため」と分析した。
2月の貿易赤字は471億ドルと、6カ月ぶりの最大水準となった。2006年以降、国内総生産(GDP)に対する貿易赤字比率が低下していたが、昨年は2.7%とまた高まり始めた。このうち対日貿易赤字は昨年686億ドルと、2009年以降6年間で54%も増えた。対日貿易赤字の増加などこうした傾向なら、2020年ごろには米国のGDPに対する貿易赤字比率が2006年水準(GDPの6%)まで高まるという見方が出ている。
貿易赤字の原因には振るわない海外市場状況とドル高の影響が大きいという分析が多い。主要6カ国の通貨に対するドルの価値を示すドルインデックスは、昨年12月の米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げから2カ月間に2-3%上昇した。ドル高になれば米国企業の輸出競争力は落ちる。
貿易収支が反映された米国の経済成長率は4期連続で低下する見込みだ。昨年4-6月期の3.9%、7-9月期の2.0%、10-12月期の1.4%に続き、今年1-3月期には1%以下に落ちるという観測もある。FRBのイエレン議長が最近、「昨年12月の利上げは失敗でない」と主張したのは、こうした経済状況を懸念する一部の批判を意識したものとみられる。
◆国内政治的ジェスチャー?
イエレン議長は3月、「利上げ速度調節」に言及してドル安方向に変えたが、海外状況は厳しい。欧州連合(EU)と日本が追加の量的緩和計画を発表したり市場介入すれば、またドル高に転じる可能性があるからだ。
11月に次期大統領選挙を控えた米国内の政治的な雰囲気も尋常でない。共和党と民主党の予備選ではすでに貿易赤字が大きな争点に浮上している。共和党予備選で現在トップのドナルド・トランプ氏はオバマ政権の無能を批判しながら、貿易国の為替操作に強硬対応するべきだと声を高めている。トランプ氏は為替操作国に45%の報復関税を課すという公約を掲げた。
ブラジルなど新興国は2010年の主要20カ国(G20)財務相会議で、米国の量的緩和も結局は為替操作だと強く反発した。当時、米国は内需沈滞を解決するための通貨・財政拡大政策の副産物としての通貨安は容認するべきだという論理でこれらの国を説得した。新興国の反発を意識し、現在は日本の追加量的緩和や市場介入をこれ以上傍観できないというジェスチャーとも解釈される理由だ。
ある専門家は「ルー長官の発言はグローバル通貨安競争の激化と見ることができる」と述べた。一方、国際通貨基金(IMF)の関係者は「ルー長官が円安政策に反対したのではなく、直接的な市場介入はいけないというシグナルを伝えたようだ」と分析した。
一方、同じく対米貿易黒字国の日本に対しては量的緩和を通じた通貨安だとして円安を容認した。米国がそのような日本までも問題視したのは、ドル安を維持して自国の景気を浮揚させる戦略への旋回だと、専門家らは分析している。
◆ドル高危機論
米国が日本の市場介入意志にブレーキをかけた背景には、米国の厳しい事情を挙げることができる。対外経済政策研究院(KIEP)のカン・テス研究委員は「今年に入って米国の状況が日本の事情を容認するのが難しいほど厳しくなったため」と分析した。
2月の貿易赤字は471億ドルと、6カ月ぶりの最大水準となった。2006年以降、国内総生産(GDP)に対する貿易赤字比率が低下していたが、昨年は2.7%とまた高まり始めた。このうち対日貿易赤字は昨年686億ドルと、2009年以降6年間で54%も増えた。対日貿易赤字の増加などこうした傾向なら、2020年ごろには米国のGDPに対する貿易赤字比率が2006年水準(GDPの6%)まで高まるという見方が出ている。
貿易赤字の原因には振るわない海外市場状況とドル高の影響が大きいという分析が多い。主要6カ国の通貨に対するドルの価値を示すドルインデックスは、昨年12月の米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げから2カ月間に2-3%上昇した。ドル高になれば米国企業の輸出競争力は落ちる。
貿易収支が反映された米国の経済成長率は4期連続で低下する見込みだ。昨年4-6月期の3.9%、7-9月期の2.0%、10-12月期の1.4%に続き、今年1-3月期には1%以下に落ちるという観測もある。FRBのイエレン議長が最近、「昨年12月の利上げは失敗でない」と主張したのは、こうした経済状況を懸念する一部の批判を意識したものとみられる。
◆国内政治的ジェスチャー?
イエレン議長は3月、「利上げ速度調節」に言及してドル安方向に変えたが、海外状況は厳しい。欧州連合(EU)と日本が追加の量的緩和計画を発表したり市場介入すれば、またドル高に転じる可能性があるからだ。
11月に次期大統領選挙を控えた米国内の政治的な雰囲気も尋常でない。共和党と民主党の予備選ではすでに貿易赤字が大きな争点に浮上している。共和党予備選で現在トップのドナルド・トランプ氏はオバマ政権の無能を批判しながら、貿易国の為替操作に強硬対応するべきだと声を高めている。トランプ氏は為替操作国に45%の報復関税を課すという公約を掲げた。
ブラジルなど新興国は2010年の主要20カ国(G20)財務相会議で、米国の量的緩和も結局は為替操作だと強く反発した。当時、米国は内需沈滞を解決するための通貨・財政拡大政策の副産物としての通貨安は容認するべきだという論理でこれらの国を説得した。新興国の反発を意識し、現在は日本の追加量的緩和や市場介入をこれ以上傍観できないというジェスチャーとも解釈される理由だ。
ある専門家は「ルー長官の発言はグローバル通貨安競争の激化と見ることができる」と述べた。一方、国際通貨基金(IMF)の関係者は「ルー長官が円安政策に反対したのではなく、直接的な市場介入はいけないというシグナルを伝えたようだ」と分析した。
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