イラスト=キム・フェリョン記者
比例代表には、韓国社会のさまざまな職能と疎外階層を代表して専門性を発揮するという趣旨が込められている。社会的弱者の比例代表配置は総選挙で継続されてきた。フィリピン出身のセヌリ党のイ・ジャスミン議員は第19代国会で移民社会基本法案など多文化関連法案を数多く発議した。疎外階層の象徴である障害者も、第18、19代国会で与野党ともに比例代表2番に配置された。12年前の第17代国会では、開かれたウリ党が1番にチャン・ヒャンスク候補を置いて話題になった。
しかし今回の公認ではこうした「伝統」が消えた。多文化の比例代表は4年ぶりに消える状況だ。未婚の母の国会入りまではまだ前途が遠い。社会福祉分野も「共に民主党」18番の李兌守(イ・テス)コットンネ大教授ほどだ。「感動を与えることができる方々が多数含まれた」というセヌリ党公認委の説明が色あせてしまう。障害者団体は「総選挙で徹底的に審判する」という声明を出した。
もちろん従来の疎外階層比例代表が明確な足跡を残せなかったのも理由だ。とはいえ、党内派閥争いに血眼になり、比例代表の本来の趣旨を忘却した政界の態度は正当化されない。「共に民主党」の金聖洙(キム・ソンス)報道官も名簿発表後、「社会的弱者が当選圏内に入ればよかったが、順位投票をしたところ1人も含まれなかった」と認めた。
比例代表は次の国会で議席数が47議席に減る。しかしこの人たちが持つ重要性も同時に減るわけではない。端的な例として、障害者が国会から消えてもかまわないほど、障害者福祉は改善されなかった。過去10余年間、大きな成果はなかった。イ・ジョンスク先進福祉社会研究会長は「政界は選挙の時期になれば票を考えて疎外階層をケアすると強調するが、今回はそのような姿まで見えなくなっている」と指摘した。与野政党は社会的弱者に一票を求める前に、どんな努力をしてきたのか振り返るべきだ。
チョン・ジョンフン社会部門記者
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