「検事の法務部と外部機関派遣を制限し、法務部には特別な事情がない限り弁護士または一般職公務員が勤務するようにする」。
2012年12月、朴槿恵(パク・クネ)大統領はこうした大統領選挙公約を発表した。検事が検察と権力機関を行き来する慣行をなくし政治権力の外圧を遮断するという趣旨だった。特に検事が青瓦台(チョンワデ、大統領府)勤務後に検察に復帰する慣行をなくすという意味と解説された。
だが13日付の検察人事は大統領の公約は見る影もないほどだった。権政勲(クォン・ジョンフン)民情秘書官が法務部人権局長、李栄祥(イ・ヨンサン)行政官が大検察庁(最高検)犯罪情報第1担当官、パク・テホ行政官が大検察庁公安部検察研究官に任命されるなど、青瓦台から帰ってきた検事らが要職を務める。
1997年に施行された現行の検察庁法第44兆2項では検事を大統領秘書室に派遣したり大統領秘書室の職位を兼任できないよう規定している。これは検事が政治的影響から独立し公正に職務を遂行できるようにするための措置だ。
少なくとも金大中(キム・デジュン)政権当時はこの法条項を守ろうと努力した。民情首席秘書官と司正・民情秘書官などのポストには検事出身でないか検事を退職し相当期間過ぎた人を座らせた。しかし盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権になり現職検事が形式的に辞職した後青瓦台に勤める便法を使い始めた。9人の検事が辞表を出して青瓦台に勤めたが、彼らのうち4人は盧武鉉政権の執権中に検察に復帰した。他の4人は李明博(イ・ミョンバク)政権発足に合わせて検察に戻った。青瓦台勤務後に検察に復帰しなかったのはシン・ヒョンス司正秘書官1人だけだった。李明博政権も執権期間中に22人の検事が辞表を出して青瓦台で勤めたが全員が検察に戻った。朴槿恵政権もやはり便法的な検事の青瓦台派遣を維持している。むしろ青瓦台に行ってくれば要職へと栄転するルートが公式化されている。以前は青瓦台勤務を終えれば要職よりは高検・法務研修院など目立たないポストに就くケースが多かった。
青瓦台派遣検事の検察復帰を批判する論拠は、検察の独立性が損なわれかねないという懸念だ。検察の存在理由は権力型不正、特に「生きている権力」を牽制することだ。エリート検事が青瓦台と検察を循環する慣行をそのままにする場合、政治権力の好みに合わせて検察が馴致される恐れがある。検察の権力乱用も問題だが検察が政治権力の顔色をうかがい自らの役割ができなくなるならばはるかに深刻だ。こうした点から大検察庁中央捜査部を廃止してから権力型不正に対する検察捜査が特別な成果を上げられない原因を念入りに調べなければならない。
19代国会で検事の便法的な青瓦台勤務を制限する法案3件が発議され係留中だ。すべて野党議員が発議した法案だ。ところが19代国会の任期が終わるまでに法案が通過する可能性は希薄に見える。いまの野党も執権していた時には便法運営をしており、与党議員の支持を引き出すのは難しくなるほかない。
しかし政府も守ることのできない法律はいっそなくすほうが良い。政府自ら法治主義の原則を損ねるという不信ばかりを生むだけだ。検察は政権でなく国民の側に立たなければならない。独立性が崩れれば検察は国民に対する奉仕者ではなく「政権の侍女」に転落しかねない。次期国会は法の趣旨をしっかり生かせるようこの法律を変える作業に出なければならないだろう。(中央SUNDAY第462号)
2012年12月、朴槿恵(パク・クネ)大統領はこうした大統領選挙公約を発表した。検事が検察と権力機関を行き来する慣行をなくし政治権力の外圧を遮断するという趣旨だった。特に検事が青瓦台(チョンワデ、大統領府)勤務後に検察に復帰する慣行をなくすという意味と解説された。
だが13日付の検察人事は大統領の公約は見る影もないほどだった。権政勲(クォン・ジョンフン)民情秘書官が法務部人権局長、李栄祥(イ・ヨンサン)行政官が大検察庁(最高検)犯罪情報第1担当官、パク・テホ行政官が大検察庁公安部検察研究官に任命されるなど、青瓦台から帰ってきた検事らが要職を務める。
1997年に施行された現行の検察庁法第44兆2項では検事を大統領秘書室に派遣したり大統領秘書室の職位を兼任できないよう規定している。これは検事が政治的影響から独立し公正に職務を遂行できるようにするための措置だ。
少なくとも金大中(キム・デジュン)政権当時はこの法条項を守ろうと努力した。民情首席秘書官と司正・民情秘書官などのポストには検事出身でないか検事を退職し相当期間過ぎた人を座らせた。しかし盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権になり現職検事が形式的に辞職した後青瓦台に勤める便法を使い始めた。9人の検事が辞表を出して青瓦台に勤めたが、彼らのうち4人は盧武鉉政権の執権中に検察に復帰した。他の4人は李明博(イ・ミョンバク)政権発足に合わせて検察に戻った。青瓦台勤務後に検察に復帰しなかったのはシン・ヒョンス司正秘書官1人だけだった。李明博政権も執権期間中に22人の検事が辞表を出して青瓦台で勤めたが全員が検察に戻った。朴槿恵政権もやはり便法的な検事の青瓦台派遣を維持している。むしろ青瓦台に行ってくれば要職へと栄転するルートが公式化されている。以前は青瓦台勤務を終えれば要職よりは高検・法務研修院など目立たないポストに就くケースが多かった。
青瓦台派遣検事の検察復帰を批判する論拠は、検察の独立性が損なわれかねないという懸念だ。検察の存在理由は権力型不正、特に「生きている権力」を牽制することだ。エリート検事が青瓦台と検察を循環する慣行をそのままにする場合、政治権力の好みに合わせて検察が馴致される恐れがある。検察の権力乱用も問題だが検察が政治権力の顔色をうかがい自らの役割ができなくなるならばはるかに深刻だ。こうした点から大検察庁中央捜査部を廃止してから権力型不正に対する検察捜査が特別な成果を上げられない原因を念入りに調べなければならない。
19代国会で検事の便法的な青瓦台勤務を制限する法案3件が発議され係留中だ。すべて野党議員が発議した法案だ。ところが19代国会の任期が終わるまでに法案が通過する可能性は希薄に見える。いまの野党も執権していた時には便法運営をしており、与党議員の支持を引き出すのは難しくなるほかない。
しかし政府も守ることのできない法律はいっそなくすほうが良い。政府自ら法治主義の原則を損ねるという不信ばかりを生むだけだ。検察は政権でなく国民の側に立たなければならない。独立性が崩れれば検察は国民に対する奉仕者ではなく「政権の侍女」に転落しかねない。次期国会は法の趣旨をしっかり生かせるようこの法律を変える作業に出なければならないだろう。(中央SUNDAY第462号)
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