今年前半期、韓国野球委員会（ＫＢＯ）にはサムスン・ライオンズから問い合わせがあった。問い合わせの内容は異例だった。サムスン球団事情をよく知る人物は当時の問い合わせ内容について、「日本プロ野球に進出して国内に復帰した選手がまた日本の球団に移籍することは可能かという要旨だった」と話した。

サムスンでこの条件に合う選手は２人だった。２００４－２０１１年に千葉ロッテ、読売、オリックスで８シーズンを過ごした李承ヨプ（イ・スンヨプ）。そして２００８－２０１２年にヤクルト・スワローズで抑え投手だった林昌勇（イム・チャンヨン）だ。ともに韓国と日本のプロ野球でトップレベルの選手となった。

しかし両選手ともに今年３９歳と、海外再進出を狙うには年齢が高い。日本球団で全盛期ほどの待遇を受けるのは難しい。さらにサムスンの重要な戦力となっている。それだけに異例だった。


疑問は１０月中旬にサムスン選手の海外遠征賭博スキャンダルが報道され、ある程度は解けた。賭博疑惑が事実と確認されれば林昌勇は国内で選手生活を続けるのが難しい状況だった。実際、サムスンは１１月３０日、林昌勇を保留選手名簿から除外して決別を宣言した。ソウル中央地検が１１月２４日に林昌勇を呼んで取り調べた直後だった。調査で林昌勇は賭博容疑を一部認めた。結局、林昌勇は賭博スキャンダルが明らかになる前に海外で選手生活を継続できる道を探そうとしたとみられる。

サンケイスポーツは１２日付の報道で「林昌勇が９月、オリックスに入団を打診した」という内容を伝えた。報道によると、林昌勇は年俸と起用法にこだわらない考えを伝えたという。サムスン側がＫＢＯに問い合わせたことにもつながる。

サムスン選手の賭博スキャンダルに関する最初の報道は今年１０月１５日にあった。賭博疑惑が浮上する前、すでに林昌勇とサムスンは事態を把握して対策を準備したとみられる。最初の報道後、球団は「真相把握のために努力する」、林昌勇は「潔白だ」と主張したのとは相反する。

ある野球関係者は「大邱（テグ）地域では年初から林昌勇が賭博問題で暴力団から苦しめられているという噂が広まっていた。捜査機関も関連諜報を認知した状況」と伝えた。この噂が事実ならサムスンは「賭博スキャンダル」という爆弾を抱いてシーズンを送ったということだ。結局、賭博波紋が広がり、安志晩（アン・ジマン）、尹盛桓（ユン・ソンファン）を含む３選手の韓国シリーズエントリー除外、準優勝、林昌勇の放出という結果を受け入れなければならなかった。