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日本アニメ『バケモノの子』細田監督「誰が本当のバケモノなのか問いたかった」

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

九太(右側)は自分を育てた父であり師匠のバケモノ・クマテツと様々な困難を乗り越え成長していく。

細田守氏

細田守監督(48)は日本アニメーション界の新しい巨匠だ。

独特の世界観とエンターテインメント的な要素を巧みに組み合わせた作品を制作する点で「ポスト宮崎駿」の筆頭に挙げられている。『時をかける少女』(2006)、『サマーウォーズ』(2009)、『おおかみこどもの雨と雪』(2012)など、ファンタジー的な設定に家族と絆の価値を落とし込んだ細田監督の作品は国境を超えて世界の人々から愛されている。自身の家族や日常からインスピレーションを得るという細田監督が父性愛を扱った映画『バケモノの子』(11月25日公開)を世に送り出した。行き場所を失った9歳の少年・九太が偶然バケモノの世界に迷い込み、粗暴なバケモノ・熊徹らと共に暮らしながら青年に成長していくストーリーだ。おおかみの血を持つ平凡ではない姉弟を育てる母親の奮闘を描いた『おおかみこどもの雨と雪』の父親編と見ても差し支えないだろう。

映画は今夏、日本で450万人の観客を集めて細田監督の歴代最高興行作になった。6年ぶりに訪韓した細田監督は父親になったことが今回の作品の出発点だと語った。


「子供をほしいという気持ちで『おおかみこどもの雨と雪』をつくったのですが、その心が神に伝わったのか3年前に男の子が生まれました。子供が様々な人との縁の中でまっすぐ育ってくれたらいいなと思ってこの映画を企画しました」

『おおかみこどもの雨と雪』とは違い、『バケモノの子』では親が子供を育てない。熊徹と彼の仲間のバケモノが九太の「父」であり師匠になって彼の成長を助ける。人間世界の高校生の少女・楓も力を添える。これについて細田監督は、血で繋がっていなくても誰でも子供を育てられるという意味だと説明した。

「未婚や晩婚で出生率が低くなり、新しい形態の家族が登場する現実のなかで、家族とは何か、子供は誰が育てなければならないかに対して問うてみたかったのです。社会全体が親の役割を果たして新しい世代を育てていかなければならないというのがこの映画のメッセージです」

細田監督は「親が子供を育てながら多くのことを学んでいくように、社会も新しい世代を育てながらまた別の成長ができると思います」と付け加えた。ハーマン・ メルヴィルの小説『白鯨』がこの映画の重要なモチーフになっている。九太は「エイハブ船長は鯨でなく、自分自身と戦っている」という楓の言葉から大きな気づきを得る。細田監督はこれを通じて誰が本当のバケモノかを世に問いたかったと語った。

「エイハブ船長は心の中で鯨のモビィ・ディックを悪魔に仕立てあげて自ら悪魔になっていきます。船長が失ったのは片足ではなく心の中の大きな部分です。これは映画に登場する、胸に大きな穴が空いた人間にもつながります。アイデンティティの混乱など内面の暗さを克服できず生きている人々こそが本当のバケモノではないでしょうか」

細田監督は「大衆に奉仕する精神で作品をつくるのが宮崎駿監督との共通点」としながら「アニメは子供たちと一緒に見る公共財的なものなので、前向きな気持ちとメッセージを込めなければならない」と話した。



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