ロレアルのジャン・ポール・アゴン会長がフランスのクリシーにある本社でグループが保有するブランド名を背景にポーズを取っている。グループのブランドの数はランコム、ジョルジオ・アルマーニ、イヴサンローランなど32に上る。アゴン会長は「企業買収よりも企業の成長を分かち合うことが未来の核心成長の要因になるだろう」と話した。(写真=ロレアルグループ)
結果は世界1位の化粧品企業への成長だ。現在、世界の化粧品市場での占有率は12.5%。約20億人の顧客が毎年60億個のロレアル化粧品を使っている。だが成長はもはやロレアルの話題ではない。2011年からロレアルグループを率いているジャン・ポール・アゴン(Jean-Paul Agon)会長兼CEO(59)は「世界各地で起きている巨大な危機を企業が知らないままでいる時期は過ぎた」と断言した。企業が「倫理」を持ってビジネスをするのは道徳的義務ではなく企業の「死活をかけた挑戦(vital challenge)」というものだ。
それで前面に出したのが「共有ビューティー(Sharing Beauty With All)」だ。アゴン会長は「今後ロレアルが作る商品の100%が環境にも社会的にも肯定的な影響を及ぼしながら消費者と意思疎通してその信頼が消費につながる完全に新たな価値の鎖をつくり出す」と話した。特に「これによって5年以内に10億人の新規顧客が生まれるだろう」と明らかにした。
--共有ビューティーが企業の収益創出に役立つのか。
「今まで商品が企業にもたらす経済的価値や商品自らの性能(効果)が重要だったとすれば、今は商品が環境や地域社会に及ぼす要素がブランドイメージや商品を評価するのに重要な要素になる」
--そのような努力を消費者が認めてくれるだろうか。
「持続可能な開発が重要なことを若い世代はある程度認知していると思う。消費者が分かってくれないとしても企業が当然すべき義務だ。これからは消費者が商品を客観的な環境基準に基づいて比較・判断して選択できる条件が作られなければならない」
--共有ビューティーの例を挙げてほしい。
「ブラジルの美容室は3分の2以上が貧困地域にありスタッフは窮乏している。これを考慮してロレアルは地域内の貧困女性を直接雇用し、職業教育をさせて経営研修を受けさせた後、ロレアルの商品を持って自身が暮らす地域の美容室で活動するようにした。地域の美容師のサービスと商品が良くなりながら多くの顧客が訪れたし、ロレアルもまた販売額の20%を手数料として受けとって誰もが恩恵を受けることができた」
<世界革新企業家、未来50年を語る>(6)ロレアルグループ会長 …「共有ビューティー」(下)
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