イラスト=キム・フェリョン記者
新興国の挑戦が激しい中、米国はトップを守るために「火星カード」を出した。米航空宇宙局(NASA)は先月28日、火星に塩水の川が存在すると発表した。植物学者の火星漂流記を描いた映画『マーシャン(Martian)』も公開を控えている。一連のこうした動きは米国宇宙科学界が火星探査予算支援を呼び掛けるためのものだという解釈もある。NASAは2012年、火星有人探査計画を盛り込んだ「火星ミッション(Mars Mission)」を発表したが、米議会は1000億ドル(約119兆ウォン)の予算を承認していない。
これに対し韓国の2020年「無人月探査」計画は一歩も進展していない。未来創造科学部は9月初め、月探査研究開発費用100億ウォン(約10億円)を入れた予算案を出したが、国会の予算案処理過程で削減される可能性がある。昨年政府が提出した月探査予算410億ウォンは国会で全額削減された。依然として大統領の公約レベルにとどまっている状態だ。
宇宙探査は莫大な資金が避けられない。とはいえ手を離しているわけにはいかない。グーグル、アマゾン、スペースXなど民間企業が探査を始めたのは最高経営責任者の好奇心を満たすレベルではない。探査技術の波及力はロボット、原子力電池、太陽熱など多方面に表れるという点を看破しているからだ。そしてお金にもなる。韓国型ロケット「羅老(ナロ)」の打ち上げ当時、韓国はロシアに技術移転料2500億ウォンを支払った。米国は有人月探査船「アポロ11号」打ち上げのため連邦予算の3%を5年以上も注ぎ込んだ。単純比較で今年の韓国政府予算(376兆ウォン)の3%は11兆2800億ウォンだ。こうした果敢な決定があったために米国は50年近く宇宙探査で世界トップを守っている。
カン・ギホン社会部門記者
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