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【社説】韓国歴史教科書議論、良質のコンテンツが解決策だ

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版
中高歴史教科書の国定化問題が漸次佳境に入っている。「正しい歴史教育」という本質は跡形もなく、政争と理念対立だけが騒がしい。政府与党と保守団体は現行検定の左寄りの偏向問題を、野党と進歩団体は国定の画一性の問題を挙げて衝突する。教科書を国の品格と先進市民の価値と見ず、理念でアプローチして起きたことだ。

韓国の屈曲した近現代史を見るとこうした議論は避けられない側面がある。光復(解放)と韓国戦争、軍事政権、近代化・産業化・民主化とつながる一連の過程に対する解釈が違うこともあるからだ。ドイツの歴史家レオポルト・ランケが主唱した「事実と客観の歴史」と英国の歴史家エドワード・カーの「解釈と主観の歴史」が衝突した局面だ。政府与党と保守団体はランケの路線を、野党と進歩団体はカーの路線に沿っている様相だ。

それなら教科書の運命はどうだったのだろうか。朴正熙(パク・チョンヒ)政権は1974年に「主体性ある国民精神教育」を名分に検定を国定に変えた。そして5・16クーデターを革命と表現した。だが長くは続かなかった。全斗煥(チョン・ドゥファン)政権がこれを否定し、第5共和国を「正義社会を実現し矛盾と不正を清算する政府」と教えた。官製史観に巻き込まれた教科書は2010年に検定に完全転換され翌年から高校韓国史8種類が出された。先進国型教科書に36年がかかったのだ。


だが、検定も問題だった。偏向性と事実誤認をめぐる問題は相変わらずだった。柳寛順(ユ・グァンスン)烈士が抜け落ち、哨戒艦・延坪島(ヨンピョンド)事件の挑発主体を北朝鮮と明示せず、金日成(キム・イルソン)の普天堡(ポチョンボ)抗日戦闘を浮き上がらせることもした。さらにガールズグループの少女時代は入れ、哨戒艦を除いたりもした。結局ランケでもカーでもどちら側でもない正体不明の教科書を作ったわけだ。こうした偏向・不良教科書に印鑑を押し、いまになって国定化の銃を担いだ教育部が情けないだけだ。

この時点で国定か検定かという副次的なイシューにエネルギーを消耗する理由はない。41年前の国定教科書に回帰するのは現実的にすっきりした方法ではない。開放性・多様性・創意性が生命であるグローバル時代に、一度卒業した国定化に戻るならば国際的な笑い話になりかねない。

したがって政府与党は中途半端な国定化の試みに先立ち学者と教師に、より本質的に悩ませるようにしなければならない。バランス感があり、中立的で、質が良い教科書を作ることに力を集め支援しなければならないということだ。日本は任那日本府と慰安婦、中国は東北工程で韓国の歴史を歪曲するが、韓国ではなぜ発行方式をめぐる論争なのか。

まず緩い現行の検定を強固な検定に変えなければならない。そうなれば国定と違うところがないとの主張もあるが、現行方式では的確性・客観性・均衡性を除きにくい。執筆基準に大韓民国のアイデンティティと正統性を明確に提示し、左右に偏らない学者を検定委員として厳選しなければならない。理念対立の発火点である近現代史の割合を現行より縮小することも検討対象だ。

さらに重要なことは執筆だ。当代最高の学者を参加させ、論文よりも重大な研究実績と認めなければならない。現在のように民間出版社が費用を節約しようと新進学者に任せ平均6カ月で書けと言って良い教科書が出てくるだろうか。執筆期間を数年に大幅に増やし、関連費用を政府が支援する方策も必要だ。税金はそうしたことに使うものだ。うまくやればベストセラー教科書も出てこないだろうか。本質的解決策は質の良いコンテンツだ。歴史教科書は韓国の顔であり国の品格だ。(中央SUNDAY第444号)





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