１０日、国会教育文化体育観光委員会の教育部国政監査では「国史教科書の国定化」をめぐって与野党が激突した。野党議員は「国定教科書は、北朝鮮など画一的な教育をしなければならない国だけが採用している。歴史教育の多様性を害する国定化の議論を中断せよ」と黄祐呂（ファン・ウヨ）副首相兼教育部長官に促した。

この日、黄長官は「国定化についての立場がどうなのか」という野党議員の質問に「検定制と国定化の２つの案をめぐって検討中」としながら明言を避けた。だが「バランスの取れた正しい教科書を作って、国論を統合して誇らしい祖国に対する自負心を持たせようというのが教育部の基本立場」という言葉を繰り返した。黄長官は「国定として決定されれば２０１７年３月から、現行検定制を維持すれば２０１８年３月から新しい教科書を適用することになる」と話した。国定教科書として決定される場合、来年年末までには教科書を作るということだ。

これに対して新政治民主連合のペ在禎（ペ・ジェジョン）議員は「多くのミスが指摘された教学社の教科書も作るのに２年６カ月かかった。どうやって１年半でミスのない国定教科書を作ることができるというのか。朴槿恵（パク・クネ）大統領の任期中に断行するということではないのか」と促した。ソウル大学国史学科出身の柳基洪（ユ・ギホン）議員は「さまざまな観点で歴史を解釈する方法を子供たちは学ばなければならないのに、国定化になれば解釈の多様性を害することになるだろう」と話した。


この日、朴洪根（パク・ホングン）、チョン・ジンフ両議員は「国定教科書は違憲ではないが、検定・認定教科書が政治的中立性を保障する憲法精神に合う」とした１９９２年の憲法裁判所判の決文を提示して「国定教科書は結局、政権の意に沿った教科書となる」と主張した。この日「教科書国政監査」は野党議員が教育部を叱責し、黄長官が防御する形で進行された。セヌリ党の姜恩姫（カン・ウンヒ）議員は「昨年の対国民世論調査で保護者の５６．２％が国定教科書を支持した。現在の検定・認定教科書は同じ事実についての記述がそれぞれ違っており、子供たちを混乱に陥れている」と発言した。同党のキム・ハゴン議員は「歴史は事実に基づいて記述されるべきだとみる。子供たちが教科書によって異なる内容を学んではいけない。だから国史教科書を国定化しなければならない」と話した。

黄長官はこの日「検定案で決定される場合、事実の誤記や偏向性の是非などが発生しないよう現行の検定審査体制を改善・補完する」と明らかにした。２０１３年に教学社の韓国史教科書などの不良問題が提起された当時には、民間の出版社が開発した教科書が審査を経て教育部の「検定合格」通知が出てきた後にだけその内容が一般公開された。その後教育部が教学社を含め８種の教科書について事実誤記、偏向性の是非をかもす部分について修正命令を出すと出版社は「すでに検定を通過した教科書について内容を修正せよというのは不当だ」と反発した。

野党議員は「検定・認定教科書で事実誤記が問題ならば、現在の検定制を充実するだけでも十分に取り除くことができる」と主張している。実際、教育部は７月の１次審査を通過した教科書がミスを修正・補完しなければ最終検定から脱落させる検定制の改善案を出した。