米国を含んだ西側６カ国とイランが１４日、オーストリアのウィーンで核協議を妥結し最終合意文に署名した。これにより２００２年にイランに極秘のウラン濃縮施設が存在するという暴露から始まったイラン核危機は１３年ぶりに出口を見いだした。オバマ米大統領はホワイトハウスでの記者会見で、「イランが核兵器を持てないようにする長期的で総合的な交渉を作り出した。必要ならばいつどこであれ国際社会の査察が行われるだろう」と明らかにした。

今回の妥結で登場した「イランモデル」は、イランの遠心分離機の数を大幅に減らすなど核開発計画を凍結・縮小し核兵器開発を防ぐのが目標だ。このため国際原子力機関（ＩＡＥＡ）が軍事施設を含む核活動が疑われる施設に接近できるようにした。国連がイランに対し取っていた武器禁輸措置と弾道ミサイル制裁は当分維持することにした。代わりにイランに対する経済・金融制裁はＩＡＥＡの査察結果により早ければ来年初めにも解除することにした。ただしイランが合意履行を拒否すれば制裁は再び元通りとなる。

これにより米国と国際社会はイランが核保有国になれないよう監視する権限を確保し、イランはオイルマネーを含む数十億ドルの現金流入を期待できるようになった。一時「悪の枢軸」と名指しされたイランは米国の交渉パートナーとしての待遇を受け中東の強者として登場する外交的成果も得た。


イランモデルを可能にした動力はオバマ政権の現実外交だ。過去の敵がきょうの友人になることができ、敵とも対話できるというオバマ・ドクトリンはイラン核協議妥結により画龍点睛を打った。ミャンマー訪問とベトナム共産党書記長招請、キューバとの国交正常化に続きオバマ大統領はイランとは粘り強い核協議で成果を出した。特にイラン核協議には「イスラム国」撃退戦に参加しているイランとの暗黙的な協力関係が隠れていた。このためオバマ政権はイスラエルのネタニヤフ首相の反発と米共和党の挟み打ちに遭いながらもイランとの対話路線を守った。共和党は米国議会の権限である６０日間の検討期間中に核合意を拒否する可能性も示唆しており依然として変数として残っている。





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