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【中央時評】困難な時、さらに見えない大統領=韓国(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
最近の中東呼吸器症候群(MERS)拡散事態に対する朴槿恵(パク・クネ)大統領の対応を見ながら、ふと第2次世界大戦当時の英国王ジョージ6世の姿を思い出した。ジョージ6世は1936年、彼の兄エドワード8世が米国人の離婚女性と結婚したことで王位から退きながら予期せず即位することになった。ところが39年、第2次世界大戦が勃発した。英国はドイツ軍の直接的な侵攻からは免れていたが空中爆撃によって大きな苦痛を味わっていた。周辺では国王がカナダなどのより安全な地域に逃げて身を守るべきだという意見が少なくなかった。

しかしジョージ6世はこうした要求をはねのけてロンドンのバッキンガム宮殿にとどまった。40年9月7日にロンドン地域はドイツの初めての空襲があいイーストエンド(the East End)地域の民間人約1000人が命を失った。そして1週間後の9月13日、バッキンガム宮殿の前庭にもドイツ軍の爆弾が投下された。当時そこにとどまっていたジョージ6世夫妻はかろうじて命拾いした。死にそうな状況だったが王宮が爆撃された後、王妃はむしろ「私は、私たちが爆撃を受けてうれしい。その爆撃によって私たちは今や(ドイツ軍の爆撃で被害を受けた)イーストエンドの方々に面目が立った」と話したという。

王室は戦争中にリスクと苦痛を国民と共有し、苦しむ国民を慰めるために努めた。国王はドイツ軍の爆撃で被害を受けた地域を訪問し、軍需工場を訪ねて励ました。さらに戦場であるノルマンディを含めた海外のさまざまな英国軍基地も訪問した。王室は戦時中の物資不足による配給制度に参加し、冬でも暖房をつけず窓を板などで隠して寒さに耐えた。


戦争中このように国王は国民と同じように苦痛と困難を分かち合い、それによって国王は戦争の困難の中で国民的抵抗と統合の象徴になった。ついに連合軍がドイツとの戦争で勝利した時、市民は王宮前に集まって国王を叫び、王室家族はバッキンガム宮殿のテラスで彼らと勝利の喜びを分かち合った。国家の危機的状況で国の最高指導者が見せるべきモデルをジョージ6世は体現したのだ。

戦争ほどの状況ではないが、最近のMERS事態も明らかに国家的危機だ。すでに全国の大多数の地域に病魔が広がり、感染者も予期せぬ場所で継続して増えている。相当な時間が流れたが弱くなるそぶりはまだ見られず、関係当局や病院が効果的に対処しているという信頼も与えられずにいる。今や誰でもどこでも感染する可能性があるという不安感が極度に高まっている。大規模行事は言うまでもなく日常的な小規模な行事も延期になったり中止になったりして街中の人通りもまばらになった。近所の病院にさえ行くことを敬遠して外国人観光客が訪れず、関連業界もやはり大きな困難を経験している。MERS事態は感染患者や医療スタッフだけでなく国民誰もが経済的にも社会的にも苦痛を味わっている国家的災難だ。



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