北朝鮮が９日、潜水艦の発射弾道ミサイル（ＳＬＢＭ）の水中発射試験に成功したと発表した。北朝鮮の朝鮮中央通信は金正恩（キム・ジョンウン）第１書記が参観する中で弾道ミサイルが海水面を突き抜けて空へ勢いよく突き上がる写真を公開した。金第１書記は「潜水艦から弾道ミサイルを発射することになったのは、人工衛星の打ち上げに劣らぬ驚異的な成果」として「戦略潜水艦弾道ミサイルが生産に入って近いうちに実践配置されれば、敵対勢力の後ろの残灯に時限爆弾をぶら下げておくことになる」と話したと報道された。これが事実ならば、北朝鮮の核の威嚇は完全に新たな局面に入ったと言っても過言ではない。

専門家たちは北朝鮮の主張に一部の誇張がある可能性があるが、ＳＬＢＭ開発の詰めの段階である水中射出試験に成功した可能性が高いとみている。北朝鮮はソ連のゴルフ級潜水艦を逆設計して２０００トン級の戦略潜水艦を建造し、昨年中旬から地上と海上で射出試験を進めてきた。それから１年も経たないうちに潜水艦に設置された垂直発射管を通じて模擬弾道ミサイルを水の外に射出させる実験まで成功裏に終えたとすれば、１、２年以内にＳＬＢＭの戦力化が可能だという観測も出ている。

敵陣深く浸入した潜水艦から発射されるＳＬＢＭは、地上発射弾道ミサイル（ＩＣＢＭ）や航空機に載せられた弾道ミサイル（ＡＬＢＭ）とは違い、探知や迎撃がほとんど不可能だ。ＳＬＢＭの保有が核戦略で最も重要な核報復能力の具備のような意味に解される理由だ。北朝鮮が米国・ロシア・英国・フランス・中国に続き６番目のＳＬＢＭ保有国の隊列に合流することになれば、北朝鮮に対する先制的な核攻撃は事実上不可能になる。北朝鮮のＳＬＢＭ保有は北朝鮮の核問題の様相自体を根本的に変える「ゲームチェンジャー（ｇａｍｅ　ｃｈａｎｇｅｒ）」になるとみる理由だ。北朝鮮のＳＬＢＭは韓国だけでなく米国や日本、さらには国際社会全体にとって深刻な挑戦になるだろう。


米国の拡張抑制と核の傘に依存する韓国の対応戦略は、根本的な修正が不可避になる。２０２０年代中盤を目標に推進されている韓国型ミサイル防衛（ＫＡＭＤ）体系とキルチェーンも無用の物になるほかはない。地上発射ミサイルを狙ったこれらのシステムでは北朝鮮のＳＬＢＭに対応できないためだ。今から戦略潜水艦やイージス艦の戦力強化に出るといっても北朝鮮のＳＬＢＭを防ぐには限界がある。

北朝鮮のＳＬＢＭ戦力化は北朝鮮核に対する国際社会の根本的な認識転換を要求する「スプートニクの瞬間」になるだろう。韓米日はもちろん中国とロシアも同じように悩まなければならない国際社会の難題になるほかはない。北朝鮮のＳＬＢＭ問題を足下の火として認識して対策準備に出なければならない。その出発点は、韓米日の緊密な情報共有にならなければならないだろう。