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【中央時評】AIIBと中国の本心

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
中国が先頭に立って推進しているアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立に弾みがついている。

この過程で中国は名分と実利の面で多くのものを得ようとする。インフラ投資を通じて世界の物流を改善し、アジア中小国の経済発展を支援するという名分と、米国主導の対中国封鎖政策から抜け出し、ある程度の独自の生存力を確保する実利を得ようとしている

今回、3つの条件が、中国がAIIB創立を積極的に推進するうえで大きな役割をした。


1つ目は、2008年のグローバル金融危機以降に米国が主導する世界銀行(IBRD)・アジア開発銀行(ADB)と欧州が影響力を行使する国際通貨基金(IMF)の世界経済問題解決能力が著しく低下し、この修正論と代案論が台頭した点だ。

これに関連し、米議会が中国のIMFクオータ調整要求にブレーキをかけ、中国が新しい国際金融機構を創設するのに名分を与えている。米議会の政治的二極化で国論が分裂し、国際問題に対する米国の外交的影響力が弱まったことで、中国の外交の位置づけを大きく開いたのも背景原因の一つだ。

2つ目は、米中関係の進展がAIIBの創立に好条件になったという点だ。両国ともに複雑な国内問題と力の限界という現実的な要求に順応し、「新型大国関係」というあいまいな互恵関係の確立にいたることになり、米国のアジア政策もオバマ大統領2期目に入って「戦略的忍耐」という名前で再包装されている。

3つ目は、AIIBの創立が中国の夢を実現するのに必要な一次橋頭堡の役割をすると中国が期待している点だ。中国は自国が「中身のない大きな白菜」ということを認めていて、その中を満たして独自の生存力を補強しようというのがその夢だ。中国の夢はその多くの分野の中でも人民元の国際化、基軸通貨化とともに、一帯一路戦略、すなわち中西部の大開発とユーラシア・イニシアチブ、そして資源の自由輸送路の確保などを成功させるのが一次的な核心事項といえる。

まず、中国の通貨当局は、まだ十分に熟していない状況にもかかわらず、人民元の国際化、基軸通貨化を波状的かつ執拗に推進している。中国はAIIBの投資実行と資金運用の過程で米ドル、ユーロとともに人民元を中心通貨に含め、AIIBが人民元の国際化と基軸通貨化を操り上げるのに寄与することを内心期待している。

中国は短い資本主義の歴史により国内資本の蓄積が十分でなく、財政金融問題が深刻な状態だ。中国がこの状況で一帯一路という大きな構想を実現するのに必要な膨大な財源を確保するうえで、資本の自由化という不便な過程をう回しようとする中国の意図がAIIBに含まれている。

しかし新しい国際金融機構を中国だけで主導して成功させるのは、中国の能力と水準からみると、ほとんど不可能といえる。中国国内の金融制度の落伍性と少ない国際金融経験のため、国際金融強国の協力なしにはAIIBが発行する国際債券にAAAという高い格付けを受けるのも難しいだろう。

したがって逆説的にも中国がその遠大な夢を実現するには、他国と協力して腰を低める必要がある。中国にはまだ従来の国際経済秩序に正面から挑戦するほどの力はなく、国内的には北京コンセンサスの限界に苦しみ、国際的には各参加国の利害関係を調整するほどの政治外交力が不足しているのが現実であるからだ。

世界は今後、こうした中国の夢と隠れた本心が、アジアと世界の共栄発展と73億人の世界人の福祉に寄与するのか、それとも自国の13億人のための福祉と膨張主義の手段となるのか、鋭い目で注視するはずだ。今後の中国の出方によっては、最近強化されている米日新同盟との新覇権主義衝突を触発したり、欧州・豪州・韓国などAIIB参加国の新たな牽制と合理的疑心を誘発することもあるだろう。

中国はAIIBの成功のために、まずはこうした本心を隠し、AIIBに参加した金融先進国と協力して国際多者銀行としての基本要件を満たすのに注力するだろう。ひとまず爪を隠すということだ。

韓国がAIIBを通じて国益を最大限に確保するためには、このように中国が爪を隠す初期に積極的な姿勢で出資比率を確保するなど確実な位置選定に力を注ぐ必要がある。そして中国と協力し、国内企業の参加拡大とともに北朝鮮のインフラ投資や大陸鉄道の連結および改革・開放の触媒になるよう誘導しなければいけない。

現在、韓国は対立する大陸勢力と海洋勢力の両軸を柔軟にまとめなければいけない外交的な試験台に立っている。北東アジア情勢は激動するが、我々には生存方程式と統一方程式を連立して解く高難度ゲームが待っているということだ

鄭徳亀(チョン・ドック)NEAR財団理事長/元産業資源部長官



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