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金正恩、精魂込めた馬息嶺スキー場を訪れない理由は?(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の元山(ウォンサン)に対する愛情は格別だ。時間があればこの地域を訪れ、軍部隊や工場・企業所を視察する。かなり大きな規模の「国家級合同軍事訓練」も元山で行われる。米国産セスナ(Cessna)「172スカイホーク」と把握された飛行機を飛ばし、平壌(ピョンヤン)-元山間を行き来したこともあると、対北朝鮮情報当局者は話す。最近は偵察衛星を通じて元山特閣(専用別荘)に滑走路が新しく建設されたという情報もある。

こうした格別な愛情を出生と成長の秘密に見る視点もある。在日同胞だった生母の高英姫(コ・ヨンヒ、2004年パリでがん治療中に死亡)が北送船の万景峰号に乗って到着したのが元山港だ。万寿台芸術団舞踊家時代に金正日(キム・ジョンイル)総書記の目にとまり、息子の金正哲(キム・ジョンチョル、34)、金正恩(31)と娘の金与正(キム・ヨジョン、26)を産んでも、金日成(キム・イルソン)主席に認められず、高英姫は元山にいたという。高英姫がかつて「元山妻」と呼ばれたのもこのためだと考えられる。

金正恩の元山愛の頂点は馬息嶺(マシクリョン)スキー場だ。元山付近の江原道文川郡一帯に12本のスロープを持つ大型スキー場を建設したが、「馬もきつくて休んで越える」という海抜768メートルの馬息嶺にわずか8カ月でスキー場とホテルを建設するのに、軍人建設者と突撃隊が“速度戦”をしなければならなかった。工事期間中に5回も現場を訪問した金正恩は2013年12月31日の竣工式ではスキーもしたという。


北朝鮮の宣伝画報『朝鮮』3月号には、数枚の写真とともに馬息嶺スキー場の記事が掲載された。スキーのほか、フィギュアスケートやホッケーも楽しめ、「ロマンと情緒で異彩を放つ」という主張だ。鮮やかな服装のスキー愛好家の明るい表情も見える。スキー場が混雑しているように写真をねつ造した前歴があるため信じがたいが、平壌(ピョンヤン)と一部の地方都市の上流層が利用しているのは事実とみられる。

しかしおかしな点がある。この冬以降、金正恩は馬息嶺スキー場を一度も訪問していない。元山でミサイル発射と軍の訓練を数回見て、先月は元山の育児院と小中等学校建設場を視察したという官営メディアの報道があったが、スキー場には立ち寄っていないという。工事中にあれほど意欲を見せていたことを考えると、理解しがたい。これに関し、金正恩の建設ラッシュが軌道修正されたという観測が出ている。金正恩は権力を継承した直後、綾羅(ヌンラ)人民遊園地内のミニゴルフ場、美林(ミリン)乗馬クラブ、紋繍(ムンス)水遊場など平壌特権層中心の慰安施設建設に集中した。しかし民生とかけ離れたこうした統治に民心は冷ややかな反応を見せたという。2012年4月の最初の公開演説で「人民が切り詰めることなく、社会主義の富貴栄華を楽しめるようにする」と公言したが、実際の行動は違ったからだろう。



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