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【コラム】「中国ボーナス」を得続けるには韓中FTAを生かせ

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
2008年の金融危機により引き起こされた世界経済環境悪化の中で韓国経済をそれでも持ち堪えさせた象徴的なブランドが3つある。まず「ギャラクシー」を挙げなければならないところだ。「スマートフォンを開発したのはアップルだが、最も多く稼いだのは韓国企業」という話が出るほどだ。2番目の象徴ブランドは「HYUNDAI」だ。現代・起亜自動車は危機に屈しない果敢な投資により世界市場でシェアを6%台から9%台まで引き上げた。温もりは関連部品メーカーに広がった。3つ目のブランドには「游客(中国人観光客)」を挙げたい。中国人観光客が本格的に韓国に押し寄せ始めたのは2008年からだった。

中国市場の役割が大きかった。いまは苦戦しているというが、サムスンは一時20%を超えるシェアで世界最大規模の中国スマートフォン市場を主導した。現代自動車の場合、世界販売の約22%(昨年約176万台)を中国で売る。韓国観光公社によると昨年は613万人の中国人観光客が韓国を訪れ、彼らによる生産誘発額は18兆6000億ウォン(約2兆107億円)に達した。雇用創出効果も34万人に達した。中国に“食い扶持”を見つけたという話だ。そこで出てきた言葉が「中国ボーナス」だ。

これは、「生産年齢人口が増え経済に活気が出る現象」を意味する経済用語「人口ボーナス」を応用した言葉だ。「人口ボーナス」が人口による成長を意味するように、「中国ボーナス」は中国により引き起こされた成長を意味する。1992年の修交後、韓国経済が中国に成長動力を得たことを表現した言葉だ。


だからと中国にありがたがる理由はない。中国の登場にともなうアジアの分業構造変化に韓国はうまく適応し、一歩進んだ技術で中国市場に食い込むことができたので可能だったことだ。これまで韓国企業は付加価値が低い賃加工工場を中国に移し、韓国国内では高付加価値中間財を作って中国に輸出した。輸出の約25%が中国に行く。中国の成長をともに享受するウィンウィンの構造だった。その過程で「中国ボーナス」を手にした。

問題はそのボーナスが消失しているという点だ。自国の技術水準が高まり中国企業はいまではたいがいの中間財は中国国内で調達する。「中国の輸出増加→韓国の対中輸出増加」という流れは徐々に弱くなっている。中国はむしろ韓国の競争力を持つ企業を吸い込むブラックホールのような存在として近づいている。半導体と液晶パネルは韓国の対中輸出の約26%を占める。しかしサムスンやLGなど関連メーカーが中国に現地生産体制を構築し輸出は減る状況だ。工場が移転するため雇用も移り、青年失業はさらに深刻になる。「中国ボーナス」喪失の時代だ。

韓中自由貿易協定(FTA)に注目する理由はまさにそこにある。中国とのFTAは関税率を数%下げること以上の意味がある。さらに重要なのはこれを通じ「中国ボーナス」喪失を防ぐ枠組みを作らなければならないということだ。核心はやはり「FTAハブ」だ。韓国は米国、欧州連合(EU)、中国の世界3大経済市場と“経済高速道路”を敷いた。欧米の企業がその高速道路に乗って中国に行けるようにしなければならない。基本環境は十分だ。韓国には中国がついてくることができない市場経済システムがあり、先端産業を導く人材がある。中国市場に対する理解度もやはり高い。「韓国=先端製品の中国進出橋頭堡」という等式を作るべきだ。

韓中両国はFTA仮署名に向け大詰めの調整を進めている。1~2件の問題さえ解決すれれば今週中にも署名可能なものとされている。韓中FTA元年となる2015年の朝、私たちは振り返ってみなければならない。韓国は果たして外国企業が安心して投資できるほど安定した労務環境を構築しているのか、研究開発(R&D)環境はしっかり構築されているのか、適切な技術人材養成システムは備えているのかなどという話だ。規制があるなら果敢に解かなければならない。安定した経営環境が備わっていないなら韓国が敷いた中国行き高速道路はがらがらに空いた空っぽの道路に転落しかねない。

92年の韓中修交が韓国の産業を一段階アップグレードさせる契機だったなら、2015年の韓中FTAはやはりまた別の韓国の産業高度化の契機にしなければならない。それが「中国ボーナス」を得続ける道であり、韓国が彼らとFTAを締結する真の理由だ。

ハン・ウドク中国研究所所長



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