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【コラム】「物価安定」がうれしくない理由=韓国(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

イラスト=キム・フェリョン

経済現象の中には普通の人の常識や直観から外れることがたまにある。よいことに見えても結果的にはマイナスとなる場合がある一方、経済の負担になると見えても後にプラスに作用することもある。庶民を保護するとして賃貸料の上限を規制すれば庶民の住居費負担は減りそうだが、実際には賃貸住宅の供給を減らし、家がない庶民を路上に追い出す結果を招くケースが代表的な例だ。税率を上げれば税収が増えそうだが、実際にはそうならないケースも同じだ。

物価はどうか。普通は物価が安定すればよいと考える。家計の支出を減らせ、収入が同じなら普通の人の実質所得を高める効果があるからだ。しかし物価が長期間にわたり上がらなかったり下落すれば話が変わる。こうした状況になれば、物価の安定は必ずしもプラスではない。世の中のすべてに両面があるように、物価が下がれば消費者はよいが、物を作って売る供給者にはマイナスだ。供給者は損失を出さないとしても、以前に比べて利益が減るのは確実だ。供給者の収入減少は経済全体でみると、国民所得が減る結果を招く。国民所得の縮小は消費を冷え込ませる。消費が冷え込めば需要が減り、物の価格はさらに落ちる。まさにデフレの悪循環に入る。物価が安定してもひたすら喜べることではない。

昨年末から見られる世界的な原油安も、韓国経済には好材料と感じられる。一般的に考えると、韓国のように原油の輸入が多い国ではエネルギーコストを低め、家計の実質所得を高め、企業のコストを低め、消費の増大とともに生産と投資が増えるプラスの効果が期待される。しかし実際は正反対だ。原油安にもかかわらず、国内の消費は減り、生産と投資も回復する兆しが見えない。実際、原油安の経済成長寄与効果を考えても、今年の世界経済と国内経済はともに当初の成長率予測を下回ると予想される。世界的な景気低迷と長期間の内需不振が原油安を好循環に結びつけることができず、むしろエネルギー関連産業の委縮を招いてきたからだ。


統計庁が発表した1月の消費者物価は前年同月比0.8%の上昇にとどまった。昨年12月から2カ月連続で0%台の物価上昇率だ。物価の安定にも程がある。実際、こうした「物価安定」傾向は昨年ずっと続いた。昨年の下半期、前月に比べ物価が落ちた月は6カ月のうち4カ月もある。生産者物価がマイナスとなったのはそれより以前のことだ。昨年、デフレ懸念が年中続いた理由だ。新年に入っても続く0%台の「物価安定」がうれしくない理由でもある。



【コラム】「物価安定」がうれしくない理由=韓国(2)

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