◆中露関係が良好で得るものない可能性も
このような現実を勘案し、崔竜海(チェ・ヨンヘ)北朝鮮労働党秘書は金正恩の特使として今月17日、ロシア行きの飛行機に乗った。翌日にはウラジーミル・プーチン大統領と面会した。崔竜海はこの席で金正恩の親書をプーチンに届けた。北朝鮮メディアは「来年に両国間の親善協力関係をさらに高い段階へと発展させることを話し合った」と伝えた。このため専門家は来年に朝露首脳会談成功の可能性が大きいとみている。
中国政府も国連の北朝鮮人権決議案に対して反対の立場を明確にした。中国外交部の洪磊報道官は18日「我々は反対票を入れた」と明らかにした。また「人権問題の政治化に反対し、他国家に圧力を加える手段とすることにも反対する」と強調した。中国の本音には、北朝鮮人権改善に対する国際社会の圧迫が中国に広まることをあらかじめ遮断するねらいも隠れている。
北朝鮮政権は今後の中露の状況を積極的に活用するものと見られる。今回の国連表決から分かるように、非同盟圏は懸案によって北朝鮮にいつでも背を向けうる。したがって、風防けの役割を担ってくれる中露に対する外交力を強化することが予想される。現時点ではロシアとの首脳会談が近いとみられる。しかし、朝露首脳会談が先に成就した場合、政治・経済的側面で最も大きな後援者である中国との間に誤解が生じるおそれもある。金正恩政権の悩みがかいま見える大きな課題だ。しかし、一部の専門家は北朝鮮が中国とロシアの間で「21世紀 新・等距離外交」を展開する可能性もあると予想している。1970年代のデタント時代、金日成(キム・イルソン)首席は中露のどちら側にも偏向しない自主路線を標ぼうした。キム・ヨンヒョン教授は「崔竜海のロシア訪問で朝露首脳会談の可能性は一層大きくなった。これは中国に対する圧迫としても作用する」とし「北朝鮮が最も願っているのは中国との首脳会談であるだけに、中国もこれに対しある程度呼応する可能性がある」と話した。中国と北朝鮮の関係は金正恩が権力を握ってほぼ3年になるが、まだ首脳会談さえできないくらい以前と異なる。
しかし、他の展望もある。同徳(トンドク)女子大中国学科のイ・ドンリュル教授は「朝露首脳会談が行われても中国が大きく意に介さない可能性もある」とし「今は70年代の中ソ両国が鋭く対立した状況で北朝鮮が等距離外交を展開していた時とは違う。中露関係が過去のどの時代よりも緊密なためだ」と説明した。中国が保有している北朝鮮に対するレバレッジが、ロシアとは比較できないほど大きいこともこのような展望を裏付けている。
◆与党少数野党多数の米国、対北朝鮮圧迫レベル引き上げか
北朝鮮政権が自身の効用を最大に高められる外交戦略を選ぶだろうという点については異見がない。何より北朝鮮が国際社会で孤立を防ぐ最も効果的な方法は米国と対話を通した関係改善だ。しかし、現在は容易ではない状況だ。国立外交院のキム・ヒョンウク教授は「米国政府は対北朝鮮制裁強化に努めていて、北朝鮮人権問題はこのために名分を提供している」とし「最近、中間選挙で対北朝鮮タカ派だった共和党が上・下両院すべてを掌握しただけに、対北朝鮮政策はより一層強硬になるものとみられる。そのうえ、今年米政府の最も大きな目標の一つが、イランがタカ派政府に変わる前に核交渉を終えることだ。このため北朝鮮との今年中の対話は容易ではない」と展望した。
相当数の専門家が米国と中国の北朝鮮に対する政策は以前と大きく変わらないと予想している。北朝鮮問題が米国の優先順位から大きく後ろに追いやられ、中国の立場では北朝鮮が対米戦略における下位変数にとどまっているためだ。「米国の“圧迫”と中国の“冷静”」に要約できる政策基調が維持されるという展望だ。しかし、中国が北朝鮮を韓日米同盟の対応手段として活用しているだけに、サード(THAAD、高高度ミサイル防衛体系)等を取り巻く情勢変化によって北朝鮮の価値が高まる可能性も排除することはできない。(中央SUNDAY第402号)
金正恩、信じるのは中露のみ…新・等距離外交で出口模索か(1)
このような現実を勘案し、崔竜海(チェ・ヨンヘ)北朝鮮労働党秘書は金正恩の特使として今月17日、ロシア行きの飛行機に乗った。翌日にはウラジーミル・プーチン大統領と面会した。崔竜海はこの席で金正恩の親書をプーチンに届けた。北朝鮮メディアは「来年に両国間の親善協力関係をさらに高い段階へと発展させることを話し合った」と伝えた。このため専門家は来年に朝露首脳会談成功の可能性が大きいとみている。
中国政府も国連の北朝鮮人権決議案に対して反対の立場を明確にした。中国外交部の洪磊報道官は18日「我々は反対票を入れた」と明らかにした。また「人権問題の政治化に反対し、他国家に圧力を加える手段とすることにも反対する」と強調した。中国の本音には、北朝鮮人権改善に対する国際社会の圧迫が中国に広まることをあらかじめ遮断するねらいも隠れている。
北朝鮮政権は今後の中露の状況を積極的に活用するものと見られる。今回の国連表決から分かるように、非同盟圏は懸案によって北朝鮮にいつでも背を向けうる。したがって、風防けの役割を担ってくれる中露に対する外交力を強化することが予想される。現時点ではロシアとの首脳会談が近いとみられる。しかし、朝露首脳会談が先に成就した場合、政治・経済的側面で最も大きな後援者である中国との間に誤解が生じるおそれもある。金正恩政権の悩みがかいま見える大きな課題だ。しかし、一部の専門家は北朝鮮が中国とロシアの間で「21世紀 新・等距離外交」を展開する可能性もあると予想している。1970年代のデタント時代、金日成(キム・イルソン)首席は中露のどちら側にも偏向しない自主路線を標ぼうした。キム・ヨンヒョン教授は「崔竜海のロシア訪問で朝露首脳会談の可能性は一層大きくなった。これは中国に対する圧迫としても作用する」とし「北朝鮮が最も願っているのは中国との首脳会談であるだけに、中国もこれに対しある程度呼応する可能性がある」と話した。中国と北朝鮮の関係は金正恩が権力を握ってほぼ3年になるが、まだ首脳会談さえできないくらい以前と異なる。
しかし、他の展望もある。同徳(トンドク)女子大中国学科のイ・ドンリュル教授は「朝露首脳会談が行われても中国が大きく意に介さない可能性もある」とし「今は70年代の中ソ両国が鋭く対立した状況で北朝鮮が等距離外交を展開していた時とは違う。中露関係が過去のどの時代よりも緊密なためだ」と説明した。中国が保有している北朝鮮に対するレバレッジが、ロシアとは比較できないほど大きいこともこのような展望を裏付けている。
◆与党少数野党多数の米国、対北朝鮮圧迫レベル引き上げか
北朝鮮政権が自身の効用を最大に高められる外交戦略を選ぶだろうという点については異見がない。何より北朝鮮が国際社会で孤立を防ぐ最も効果的な方法は米国と対話を通した関係改善だ。しかし、現在は容易ではない状況だ。国立外交院のキム・ヒョンウク教授は「米国政府は対北朝鮮制裁強化に努めていて、北朝鮮人権問題はこのために名分を提供している」とし「最近、中間選挙で対北朝鮮タカ派だった共和党が上・下両院すべてを掌握しただけに、対北朝鮮政策はより一層強硬になるものとみられる。そのうえ、今年米政府の最も大きな目標の一つが、イランがタカ派政府に変わる前に核交渉を終えることだ。このため北朝鮮との今年中の対話は容易ではない」と展望した。
相当数の専門家が米国と中国の北朝鮮に対する政策は以前と大きく変わらないと予想している。北朝鮮問題が米国の優先順位から大きく後ろに追いやられ、中国の立場では北朝鮮が対米戦略における下位変数にとどまっているためだ。「米国の“圧迫”と中国の“冷静”」に要約できる政策基調が維持されるという展望だ。しかし、中国が北朝鮮を韓日米同盟の対応手段として活用しているだけに、サード(THAAD、高高度ミサイル防衛体系)等を取り巻く情勢変化によって北朝鮮の価値が高まる可能性も排除することはできない。(中央SUNDAY第402号)
金正恩、信じるのは中露のみ…新・等距離外交で出口模索か(1)
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