舞台にいた試演者が、レンズの後ろに自分の指を入れるとすぐに視野から指が魔法のように消える。指があるべき場所には背景にあった方眼紙が見える。映画『ハリーポッター』で出てきた「透明マント」のような技術が目の前で繰り広げられると会場を埋め尽くした１０００人余りの観覧客の間で「ワァ」という感歎の声がもれた。

２０日、ソウル建国（コングク）大新千年館大公演会場で開かれた国内最大の知識コンサート「テックプラス２０１４」で行われたジョセフ・チェ（韓国名チェ・ソンフン）米国ロチェスター大学研究員のプレゼンテーションの一部だ。韓国系米国人の彼は今年９月、レンズ４個を重ねて透明マントのような効果を生み出す透明レンズを開発して、世界的に注目された。

「日常の中のハイテク、夢と想像をプラス」というテーマで開かれた今回の行事で特に注目を浴びたのは、想像上のアイデアを現実化させた多様な新技術だ。拡張現実ソリューション専門企業のシムエックス（ＳｉｍＸ）のライアン・リベイラ（Ｒｙａｎ　Ｒｉｂｅｉｒａ）最高経営責任者（ＣＥＯ）は「拡張現実の医療シミュレーション」を国内で初めて公開した。バーチャルリアリティ（ＶＲ）ヘッドセットを使えば、目の前で応急室の状況がそのまま再演される。病床には仮想の成人患者が横たわっている。「右の足を一度上げてみますか」と指示すれば、患者はうなずいて彼の言うままに足を上げる。聴診器を患者の胸に当てると心臓の脈拍の音が伝えられ、超音波診断器を通じて筋肉状態も確認する。


研修医の臨床実習の効率性を高めるために作ったこの技術は、仮想患者の年齢・体形・血圧・脈拍などの身体条件を多様な状況に合うよう設定できる。患者に近付けば皮膚の状態などを詳しく見ることができ、色々な角度から身体の部分を調べることもできる。リベイラＣＥＯは「研修医はシミュレーション修練を通じて多様な危機状況を間接体験でき、医療手術の正確性も高められる」として「訓練にかかるコストを減らすことで長期的には医療費を低くし、後進国の医療水準を高めることに寄与できるだろう」と話した。

ジョセフ・チェの透明レンズも観客の目を引きつけた。小学校の時に誰もが習った「光の屈折」の原理を利用した。しかしレンズの倍率と間隔は精密に計算して設定しなければならない。彼は「透明レンズを活用すれば、大型トレーラーのドライバーも運転席内の鏡で後車を見ることができ、建物の壁をガラス窓のように透明にすることもできる」と説明した。

メディア芸術創作集団ドットミル（Ｄｏｔ　ｍｉｌｌ）のチョン・ヘウン代表は、独自技術で開発した３次元（３Ｄ）ホログラム公演を披露した。暗い舞台に立っていたＢ－ｂｏｙの１人が動き始めると、彼と同じような外見のホログラムダンサー２人が一緒に登場して一糸乱れぬ「鋭い群舞」を繰り広げる。三つ子が現れたような錯覚を呼び起こす。チョン代表は「高価な技術であるホログラムを普遍化して一般大衆が楽しめるコンテンツにしたい」と話した。



本物のダンサーは１人…３Ｄホログラムの魔術＝韓国（２）