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【コラム】秋山監督の美しい後ろ姿

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
過去の職場の新聞社でのことだ。出入り場所が変わり、3部要人というある機関長に会うことになった。彼は「歴史を正しく立て直す」を主張し、当代のイシューを主導していた。A先輩の指示もあった。その先輩は「最もよく売れる記事は人事記事」という言葉を繰り返していた。予想通り秘書室からは何度も丁重に断られた。結局、ひたすら待つことを選んだ。江北のある路地の突き当たりにある彼の社宅を訪ねた。熱心な信者である彼が夜の礼拝を行く日を選んだ。夜遅く夫人と帰宅する彼は言葉がなく、筆者は「ここでこういうことをしてはいけません」と警護員に阻止された。大胆な招かれざる客に彼の夫人は「寒いからしばらく入ってください」と恩恵を施した。素朴な小さな家が印象的だった。「次男を思い出した」という夫人の言葉でぎこちない雰囲気は消え、お茶一杯の接待にしては非常に多くの話を聞くことができた。翌日、彼の秘書室長はどんな話が交わされたのかと訪ねてきたし、普段は遠慮がちな幹部もその日以降いろいろと尋ね始めた。A先輩の言葉は正しかった。人事だった。彼が誰を使うのか、組織をどう導くのか感じ取るためだった。

最近、国内の野球では人事が大きなイシューだ。米国・日本の野球界でもシーズン後の監督交代、球団フロント人事は年次行事だ。しかしこの2週間、5球団の監督が交代した韓国野球の人事ニュースは後味がよくない。成績、チーム内の力学関係、ファンダム(熱烈支持者層)までがからみ、複雑に進行している。刷新という名前を付けて自分の人脈を大挙起用し、内紛を招いたりもする。「人事=義理」のような姿もある。気の合う人と力を合わせればシナジー効果が生じるというが、野球界も仲間同士の文化に慣れた韓国社会の縮小版であるようだ。特定の自分の人脈を起用するのは米国の政界にもあり、国内スポーツチームにも強く団結してうまくいくチームもあるため、無条件に非難することではない。しかしはっきりしているのは、人を育てず、人的清算方式で人を入れ替えれば、そのリーダーシップは安定的ではない。彼が離れればどうなるのだろうか。チームも、彼も不幸だ。

最近読んだ野球の人事記事の中に胸に響いた内容があった。妻の看病のために日本シリーズで優勝しても自ら退く日本プロ野球ソフトバンク・ホークスの秋山幸二監督のストーリーだ。優勝後、選手たちは秋山監督に十回の胴上げをした。美しい退場だ。


キム・ジョンムンプロ野球NCダイノス運営チーム長



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