世界経済の前途に、暗雲が再び立ちこめている。経済が回復するだろうという期待感が大きく下がっている。各国の金融および原材料市場は恐怖に震えている。韓国のKOSPI指数も1900ラインまで空しく落ちた。安全地帯を探すお金の行列のおかげで各国の債権価格は上昇している。
何が変わったのだろうか。6年前のリーマンブラザーズ破たん事態のような「ブラックスワン(予期せぬ大型悪材料)」がもたもたしているのではないか、いやそうではない。変わったものはなく、予想できない危機だということでもないように見える。ただし世界経済の実状に比べて過度に膨らんだ回復の期待感が、本来の位置に戻って息を殺す過程にすぎないのだ。
◆資産市場、調整が必要な時
主要国の証券市場がそうだ。米国のダウジョーンズ指数が史上最高値を更新し続けて1万7000ラインを突破したことは、やはりどうにも過速度だった。ドイツのDAX指数が今年7月に1万ラインを超えたのもそうだ。米ダウ指数は最近5年余りで160%上がった。住居価格も多くの地域で金融危機前の水準を超えた。米国が経済回復に対する自信を基に、量的緩和を終了して創意的企業らが再び芽生えてはいる。しかし振り返ると、あまりに先んじたという憂慮が大きくなった。
冷静に見た時、世界経済は依然として各国の中央銀行が供給した流動性に浮上して航海する船と同じだ。米国・欧州・日本などいずれも政策金利がゼロ状態だ。各国の経済は、超低金利の流動性供給が切れれば身動きできない境遇だ。陸地に上がってタイヤが付いた車に乗り換えるには、まだあまりにも遠かった。米国が量的緩和を終わらせた後、来年初めに金利を早期引き上げる上陸作戦を断行するといっていた考えは、つまらないものだと判明した。
米国は量的緩和の終了および早期金利の引き上げ説が絡み合いながら国債とモーゲージ(住宅融資)金利がしばらく大幅に上がった。モーゲージ金利(30年満期固定)の場合、2012年に3%まで落ちていたのが今年初めには4.5%に上昇した。すると住宅価格の騰勢が止まり、民間消費も萎縮する兆しを見せた。米国の株価上昇は実績の改善が土台になっていたが、企業らが自社株を積極的に買い入れた効果も大きく作用した。ところが相当数の企業は超低金利を活用して会社債を発行する方式で自社株の購入資金を用意した。こうしたことも債権金利の上昇によって難しくなった。
欧州の方の事情は、とても気の毒だ。経済成長率が再び0%台に落ち、デフレーション(物価下落)の心配まで大きくなった。金利引き下げカードが消耗するにつれ、近く量的緩和に入る動きだ。日本も良くない。アベノミクスの流動性ポンプにもかかわらず、経済再生が限界にぶつかった様子だ。構造改革の3本目の矢は不発に終わって久しい。中国は7%ラインさえ維持されれば経済成長率に執着しないという姿勢で内需・サービス産業育成など経済体質の改善にまい進している。中国製造業者の需要減退にドル高が加勢して国際原材料の価格は下落している。そのせいで原材料の輸出依存度が高いロシア・ブラジル・インドネシアなどの新興国経済が疲弊している。(中央SUNDAY第397号)
世界経済、ブラックスワンはない(2)
何が変わったのだろうか。6年前のリーマンブラザーズ破たん事態のような「ブラックスワン(予期せぬ大型悪材料)」がもたもたしているのではないか、いやそうではない。変わったものはなく、予想できない危機だということでもないように見える。ただし世界経済の実状に比べて過度に膨らんだ回復の期待感が、本来の位置に戻って息を殺す過程にすぎないのだ。
◆資産市場、調整が必要な時
主要国の証券市場がそうだ。米国のダウジョーンズ指数が史上最高値を更新し続けて1万7000ラインを突破したことは、やはりどうにも過速度だった。ドイツのDAX指数が今年7月に1万ラインを超えたのもそうだ。米ダウ指数は最近5年余りで160%上がった。住居価格も多くの地域で金融危機前の水準を超えた。米国が経済回復に対する自信を基に、量的緩和を終了して創意的企業らが再び芽生えてはいる。しかし振り返ると、あまりに先んじたという憂慮が大きくなった。
冷静に見た時、世界経済は依然として各国の中央銀行が供給した流動性に浮上して航海する船と同じだ。米国・欧州・日本などいずれも政策金利がゼロ状態だ。各国の経済は、超低金利の流動性供給が切れれば身動きできない境遇だ。陸地に上がってタイヤが付いた車に乗り換えるには、まだあまりにも遠かった。米国が量的緩和を終わらせた後、来年初めに金利を早期引き上げる上陸作戦を断行するといっていた考えは、つまらないものだと判明した。
米国は量的緩和の終了および早期金利の引き上げ説が絡み合いながら国債とモーゲージ(住宅融資)金利がしばらく大幅に上がった。モーゲージ金利(30年満期固定)の場合、2012年に3%まで落ちていたのが今年初めには4.5%に上昇した。すると住宅価格の騰勢が止まり、民間消費も萎縮する兆しを見せた。米国の株価上昇は実績の改善が土台になっていたが、企業らが自社株を積極的に買い入れた効果も大きく作用した。ところが相当数の企業は超低金利を活用して会社債を発行する方式で自社株の購入資金を用意した。こうしたことも債権金利の上昇によって難しくなった。
欧州の方の事情は、とても気の毒だ。経済成長率が再び0%台に落ち、デフレーション(物価下落)の心配まで大きくなった。金利引き下げカードが消耗するにつれ、近く量的緩和に入る動きだ。日本も良くない。アベノミクスの流動性ポンプにもかかわらず、経済再生が限界にぶつかった様子だ。構造改革の3本目の矢は不発に終わって久しい。中国は7%ラインさえ維持されれば経済成長率に執着しないという姿勢で内需・サービス産業育成など経済体質の改善にまい進している。中国製造業者の需要減退にドル高が加勢して国際原材料の価格は下落している。そのせいで原材料の輸出依存度が高いロシア・ブラジル・インドネシアなどの新興国経済が疲弊している。(中央SUNDAY第397号)
世界経済、ブラックスワンはない(2)
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